2021年2月14日
メリーランド州議会は2月12日、インターネット広告収入に対する新税の導入を決めた。グーグルやフェイスブック、アマゾン・コムが対象になるとみられている。
欧州では類似の仕組みがあるが、実施されれば全米初。
新型コロナウイルスの感染拡大で減少した税収を補う狙いがあるが、業界団体は「欠陥のある税制だ」と反発を強めている。
巨大IT企業のお膝元である米国は、欧州各国のデジタル課税に強硬に対抗してきた。
ただ、新型コロナによる景気後退の中で「独り勝ち」状態のIT業界への批判は根強く、地方発の課税強化の動きが広がるか注目されそうだ。
米メディアによると、新税は世界でのデジタル広告の売上高が年間1億ドル (約105億円) ある企業を対象に、メリーランド州内のデジタル広告の売上高に応じて2.5~10%の税金を課す。
グーグルなどの巨大企業は10%の最高税率が適用される見通し。
IT大手が加盟する業界団体のインターネット協会は「健全な公共政策よりも政治的な芝居を選んだ」と、導入に反対する声明を出した。
メリーランド州のホーガン知事 (共和党) は関連法案に拒否権を行使していたが、民主党が過半数を占める州議会が拒否権を無効にする決議を行った。
初年度で2億5,000万ドル程度の税収を想定しており、教育資金に充てる計画だ。
ただ今後、法廷闘争に発展する可能性もあり、実現までは曲折も予想される。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、コネティカット州やインディアナ州など全米各地でIT企業への新税導入の動きがある。
(2021年3月1日号掲載)