修理・修繕

 

▽私が通った小学校は明治政府が近代学校制度 (学制) を公布した翌年 (明治6年) に建てられ、60年前に入学した時点で90年以上の歴史を刻んでいた。谷崎潤一郎が著書『陰翳礼讃』で「日本美の核心は影の深みにあり」と絶賛したように、古色蒼然たる校舎には風趣があったものの、朽廃が進んで修理が連日続いていた。階段の上部には、巨大なゼンマイ式時計が故障したまま10時25分を指していた。修理不能で放置されていたが、真夜中にボーンボーンと鳴り出すこともあり、宿直の先生が肝を潰したらしい。修理の域を超えた校舎は私が卒業した数年後に取り壊された。現存していれば、国指定重要文化財の旧遷喬 (せんきょう) 尋常小学校 (岡山県真庭市/明治40年築) にヒケを取らぬ国家遺産になっていたはず。▽昭和初期に建てられた私の生家は格式を備えていたが、無理な増築と修理を重ねて不気味な内部構造になっていた。三階建てなのに「中二階」 が二階下にあり、実際には四階建て。一階から最上階に直通する急勾配の長い階段は、踏み外せば命を落としかねない。各部屋を結ぶ廊下が枝葉のように分かれていて、そう簡単に戻れない。遊びに来た友達全員が帰ったはずなのに、誰かが迷子になり、日が暮れてから台所にヌッと現れて、母が「うわっ!誰!?」と仰天することも一度ならず。旧家は30年前に解体された。(SS)
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▽「納得いかない…」。 昨年末、長く愛用してきたウォシュレットから水が漏れ出した。YouTubeで調べたところ、パーツ交換で直せると知るも、メーカーは撤退済み。問い合わせた他の会社も対応してくれない。「どんなウォシュレットも修理OK」という業者に依頼したところ、彼らにトイレの全交換を勧められてしまった。小さなパーツ交換で済むはずなのに…。納得できず、修理を諦めて止水栓を操作して使用している。▽「思わず、ウルウル…」。日本の友人が、お父様の遺品である40年前のビデオカメラを修理し、懐かしい映像を復活させた。この奇跡を起こしたのは、三重県の山奥に住む「修理の神様」こと今井和美さん。販売終了の家電を95%以上の成功率で修理する今井さんを、友人はテレビ番組で知ったそうだ。中学卒業後、独学で修理技術を習得した今井さんには、全国から依頼が殺到している。彼の手によって、多くの人々の貴重な思い出が蘇っている。▽「もっと貯筋しよう…」。齢を重ねるにつれて、友人・知人との会話の中で、健康に関するトピックがグッと増えてきたことに気づく。家電製品は 「修理/修繕」によって長く使い続けることができるが、人間の体はそう簡単にはいかない。日常のメンテナンスの重要性を深く実感するようになった。 (NS)
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毎日暮らしていると、いろいろなものが壊れて修理が必要になるものだ。△今の家に移り住んだとき、元の住人の冷蔵庫と洗濯機がそのまま残されていた。どちらもかなり年季が入っていたが、順調に作動するので、そのまま使うことにした。2、3年経った頃、まず調子が悪くなったのが冷蔵庫。片方の扉の取っ手が外れかかり、ダクトテープで応急処置。一時しのぎのはずが、それでも案外大丈夫で、結局、その後1年ほど使い続けた。次にガタが来たのが洗濯機。夫がどこかをいじったら動くようになり、それを何度か繰り返しているうちに全く動かなくなってしまった。そこで、ようやく新しい洗濯機を購入。節水機能で静かだし、大容量でたっぷり洗えるという感動ものだった。△ここ最近の大雨続きで、我が家もついに雨漏りを体験。この家に住んで十数年、問題なかった屋根にもついにガタがきたようだ。屋根にタープを敷いて雨漏りは一応ストップしたが、そろそろ屋根の修理を決断しないといけない。築70年近くの歴史ある(?)家なので、やはり、あちこち修理・修繕が必要なところが出てくる。古くて小さくても愛着ある我が家。これからも暮らしやすく整えていきたい。(RN)
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suzuko-san
現在の住まいに引っ越して20数年。サンディエゴに移住する前は、東京は世田谷区の築20年の集合住宅を入居前に改装し15年間住んでいた。以来、サンディエゴに来るまでの間、外装の大掛かりな修繕工事は一度だけだったが、内装の修理修繕を行った記憶はない。とりあえず、物事は順調に進んでいた。現在の住まいもそれなりに年数を重ねている物件だが、前居と違い、入居以来、キッチン、バスルームなど何度となく修理修繕を重ね、その度に、より快適な住まい空間への道を歩んでいる。それらの最初の修繕工事がまさに悪夢だった!! 普通、アメリカの住宅にウォシュレットはない。それを使い慣れていて、それなしでは快適な生活が送れないことを日本人はよく知っている。ということで、この住まいに引っ越すなりウォシュレットを買ってきた。で、経費をケチりたい私は自分で取り付けることに。それがそもそも大間違い! とにかく築年数が経っているので、水道栓のレバーがこびりついている。無理やり動かして何とか自分で取り付けた。その深夜、階下の住人から苦情が入り、水漏れしているという。ひえ~、うっそ~! なんと、その修繕費は約6,000ドル。当時、住宅保険に加入することをすっかり忘れていた私。全額が自分のポケットから。結果、世界一高価なウォシュレットとなった。ウンに見放された話である。あ~めん! (Belle)
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jinnno-san
実家は愛知県だけど、年始に初めて横須賀市を訪れた! 今回の帰省で、お母さんは“家族ルーツを辿る”にハマッていた。特に気になっているのは、お爺ちゃんが建てて自分が生まれ育った家のこと。家で撮った1940年代の写真を見ながら「この家はまだあるのかなぁ」とブツブツ。そんなのGoogle Mapで確かめればいいじゃんと思い、探してみたらすぐ見つかった 笑。で、Google Mapを頼りに、その家を目がけて、わたし一人横須賀へ。家は割と簡単に発見できたけど、わたしのミッションは家に入ること 笑。見つけただけでは帰れない 笑。不法侵入はするなと注意されてたけどピンポンがない。ちょうど近所のおばちゃんがいて頼んだら、居間にいた住人の方を呼んできてくれた。事情を説明すると、快く庭を案内してくれた。お母さんが言っていた鯉がいた池とプールは埋めたそう。縁側の向こうに居間の障子が見えた。これって、お母さんが見せてくれた写真と同じじゃん!となり、住人の奥さまに「わたしここの写真持ってます!」と興奮して伝えたら、家に上げてくれた 笑 (ミッションクリア! 笑)。お爺ちゃんが転居してすぐこちらのご家族が入居。4世代が住み続けている。屋根は修繕、内装はそのまま大事に維持されてきたそう。奥さまと連絡先交換、すっかり仲良しに 笑。次回は、まるで実家に帰るように堂々と遊びに行くよー! 笑。(りさ子と彩雲と那月と満星が姪)
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夫は何でも自分で修理したがる。現在住んでいる家に来て1、2か月経った頃だっただろうか、私は子供を学校に送ろうとして、車庫から車を出すためにバック発進したところ、まだシャッターが上がりきっておらず、なんと車で押してブッ壊してしまった。それからはシャッターが開閉不能となり、修理する羽目になった。普通なら、すぐにプロの修理屋さんに来てもらうところなのに、夫は自分で修理しようと試みた。まずYouTubeで検索…。ちょっと待って! 私が破壊しておいて申し訳ないけれど、とっとと修理屋を呼ぼうよ。労力や時間を考えると、費用は掛かっても、業者さんに任せるのが最善策と思うのだ。餅は餅屋に頼むのが一番という考えの私は、夫が何かと家の修理をしようとする度に、心の中で「プロに頼んでよ」と思ってしまうのだ。しかし、ナンダカンダと自分で直して、結構しのいできたので、それもスゴイとは思うけど…。子供が蹴り抜いた壁の丸い穴もキレイに修繕したし、キッチンのシンクに焼酎グラスが落ちているのを知らずに、ディスポーザーを回して動かなくなった時も回復したし。・・・考えてみると、結構、私と子供たちで自宅を破壊しているかも? どうもすみません。(SU)

(2024年3月16日号に掲載)