ジョイントテナンシーは税法上不利? (2019.11.16)

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ジョイントテナンシーは税法上不利?

 

Q 昔購入した家は、現在レンタル物件として、夫婦でJoint Tenancyという形態で持っています。

ところが最近、友人から私たちどちらかが亡くなった場合、税法上不利になると聞いて心配になりました。

プロベートと呼ばれる遺言執行裁判所の手続きが必要ないからと、Joint Tenancyを選んだのですが?

 

A 生存者に権利が自動的に移行するジョイントテナンシー、時間と費用が嵩む遺言執行裁判の手続きを必要としないことから、ジョイントテナンシーが便利であると思われてきました。

ただし、夫婦のどちらかが亡くなった場合、夫婦共有財産としての税法上の優遇措置を半分しか受け取ることができなくなるというマイナス面に注意が必要です。

 

 

Q その優遇措置とはどんなものですか?

 

A 夫婦のどちらかが亡くなった場合、Community PropertyまたはCommunity Property with Right of Suvivorshipで所有している場合は、ベースと呼ばれる不動産価値を死亡日の市場価格へと引き上げるステップアップベースが可能です。このステップアップベースにより、不動産売却にかかる課税額を大幅に下げることが夫婦間の大切な免税措置です。

ジョイントテナンシーで所有しているご夫婦の場合は、この免税措置の50%だけを受けられると定められています。

 



Q
夫婦間でベストな所有形態は?

 

A 2001年に導入された新しい所有形態、Community Property with Right of Suvivorshipがベストです。

Community Propertyの夫婦共有財産としての税法上の利点と、Joint TenancyのSuvivorship生存権により遺言執行裁判所の手続きを必要としないという利点2つを同時に受け取れる所有形態です。

 

 

Q 売却にかかる税金は?

 

A 不動産売却で得る利益にかかる税金をキャピタルゲインタックスと呼びます。

キャピタルゲイン税の計算には、売却経費、コスト基準となるベース(取得した時の購入価格、マイナス減価償却、プラス改築費用)、そして居住用住宅売却の場合は、さらに節税措置(個人25万ドル、夫婦50万ドルまで)が考慮されます。

 

  • 売却経費:クロージングコストと呼ばれる売却価格の経費。エスクロークロージング後に作成されるSettlement StatementまたはClosing Statementと呼ばれるエスクロー会社の精算書です。この精算書にそれぞれの経費の詳細がリストされています。 この精算書は、保険のキャンセルなどの際の売却日の証明、また税金申告にも必要とされる書類なので、大切に保管してください。

  • ベース (コスト基準):取得した時の購入価格、またはその後の税金申告により減価償却された額がベース(コスト基準)として使われます。結婚した夫婦がCommunity PropertyまたはCommunity Property with Right of Suvivorship 形態で所有していて、配偶者が亡くなった場合は、生き残った配偶者は亡くなった配偶者の死亡日における公正市場価値がベースとして100%のステップアップを得ることができます。

  • プラス改築費用:購入してから売却までの期間に、屋根、外壁、キッチンやバスルームのリモデルなど、修理ではなく改築により不動産価値を上げたと思われる費用はこのベースに加えることができます。

 

 

例:購入価格$100,000、改築費用$80,000、配偶者死亡日の公正市場価値$650,000、売却価格$650,000、売却経費$32,500

 

* 通常の不動産売却

売却価格 $650,000 +

売却経費 $32,500 -

ベース $180,000 - ($100,000+$80,000)


売却利益 $437,500 課税対象額

 

* 配偶者の死亡後の売却  ジョイントテナンシー所有の不動産売却

売却価格 $650,000 +

売却経費 $32,500 -

ベース $375,000 -  (650,000/2+100,000/2+80,000)


売却利益 $295,000 課税対象額

 

* 配偶者の死亡後の売却  Community Property with Right of Survivorship

売却価格 $650,000 +

売却経費 $32,500 -

ベース $730,000 - (650,000+80,000)


売却利益 $112,500 - クレジット対象額

 
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(このコラムではカリフォルニア州不動産の一般的情報を皆様にお伝えしています。各ケースのアドバイスは必ず専門機関にご相談下さい)

(2019年11月16日号掲載)