10/17/2024
国連専門機関の世界気象機関 (WMO) は10月、世界の水資源の現状を分析した報告書を発表した。
2023年は河川の流量が過去約30年間で最低で「最も川が乾燥した年だった」と指摘した。
氷河の消失は過去約50年間で最大。
米大陸で旱魃 (かんばつ) も多発したと振り返った。
WMOは「生活や生態系に代償を伴う形で様々な警告を受けている」として緊急対策の必要性を訴えた。
報告書によると、2023年は観測史上最も暑い年となり、1991年以降で、河川の流量が例年よりも少ない流域の割合が45%と最も高かった。
米国ではミシシッピ川流域で地下水が3年連続で減少。
南米のアマゾン川流域では、ブラジル北部マナウスの港の水位が1902年以降で最低となった。
アジアでもインドのガンジス川や、タイやカンボジアを流れるメコン川の流域で流量が少なかった。
2023年に記録した氷河の消失は6,000億トンの水量に当たると分析した。
国土交通省によると、日本の年間降水量約6,600億トンに迫る規模。
中央アジアにある約28,000の氷河は低地での農業や工業の利水に不可欠な水源だが、ここ数年で主に小規模の氷河が著しく縮小しているという。
一方で、アフリカの北部や東部のほか、フィリピンや中国で洪水も起きた。
WMOのセレステ・サウロ事務局長 (気象学者) は気温の上昇で水循環が加速し、現象がより不規則になっていると指摘。
「水が多すぎるか、少なすぎるかの問題に直面している」と述べた。
(2024年11月1日号掲載)