Thursday, 08 May 2025

トランプ氏復権へ再始動「米国復活」持論展開 実績自賛、共和指導部の対応は?

2022年11月17日

共和党のトランプ前大統領 (76) は11月15日、2024年大統領選への出馬を表明し、4年ぶりの復権に向けて再始動を宣言した。

民主党のバイデン大統領の下で「米国は没落している」と非難し「米国の復活が今始まる」と強調した。

中間選挙で自分が推薦した候補のほとんどが当選したとの持論も展開。

共和党内では冷ややかな見方もあり、党指導部の対応が焦点となる。
 

トランプ氏はフロリダ州パームビーチの邸宅マールアラーゴに支持者を集めて演説。

バイデン政権が記録的なインフレや不法移民の増加を許し、昨年のアフガニスタン駐留米軍の撤退をめぐる混乱によって国際社会で米国の地位を失墜させたと批判した。
 

自身の大統領退任時には「米国は力、繁栄、威信において頂点にあった」と主張。

ホワイトハウス奪還を誓った。
 

選挙集会を開くたびに繰り返してきた「2020年大統領選は不正だった」との根拠のない主張には今回は直接触れず、「選挙に信用を取り戻すために必要なことは何でもする」として有権者の身分確認強化などを訴えた。
 

中間選挙で選挙不正主張に同調した「選挙否定派」の候補が期待より振るわず、共和党の予想外の苦戦につながったとの批判を受けており、発言を控えたとみられる。
 

外交では「力による平和」の実現を目指すと強調。

核戦力を充実させる必要性があるとの認識を示した。

大統領在任時の実績アピールに時間を割き、目新しい政策への言及はなかった。
 

米メディアによると、トランプ氏は出馬表明前に連邦選挙委員会に立候補を届け出た。

共和党では、フロリダ州のデサンティス知事 (44) やペンス前副大統領 (63) の動向が注目されている。

                                   
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トランプ氏は次期大統領選出馬を表明した15日の演説で、在任中の日本や中国などとの通商協議を自賛し「供給網と製造拠点を米国に戻す」と訴えた。

再選を果たせば、貿易交渉で関税などを武器に各国政府や企業に圧力をかけ、米国に有利な条件を引き出す手法を再び使う恐れもありそうだ。
 

トランプ氏は、知的財産権の侵害を理由に中国に制裁関税を課した米中貿易摩擦をめぐり「米国はあらゆる面で中国を圧倒した。中国は巨額の関税を払った」と持論を展開。
 

米国が環太平洋連携協定 (TPP) 交渉で約束した自動車関税撤廃を棚上げし、日本に農産品関税の引き下げを受け入れさせた日米貿易協定についても「日本とのひどい取引を構築し直した」と強調。

米国中心の貿易政策に、企業も振り回される可能性がある。
 

演説では、高インフレの抑制に取り組む考えを表明。

物価上昇率1%にするとし、2%を目標とする米連邦準備制度理事会 (FRB) との齟齬 (そご) を露呈した。

気候変動への対策を批判し「多くの不自由な規制を終わらせる」とも述べた。


*Picture:© egorkeon / shutterstock.com



(2022年12月1日号掲載)