2022年6月1日
米国に暮らす者なら、少なくとも一度くらい、裁判所から陪審員候補に選ばれたとして「召喚状」 (Summon) が届くことがある。
陪審員候補は運転免許や選挙権などの保有リストから無作為に選ばれる (陪審員になる資格があるのは米国市民権保持者のみ)。
先月、サンディエゴ市内に暮らす65歳の女性が、郡保安官を名乗る人物からの電話で陪審員義務の不履行を告げられ、金銭を騙し取られるという詐欺事件が発生した。地元メディアが伝えた。
「あなたには逮捕状が出ており、罪からは逃げられない」との言葉を聞いて、女性は事実に違いないと思い込み、怖くなったという。
「900ドルを支払えば、新型コロナウイルス感染を避けて罰金を払い込むガイドラインがあるので、特別な方法をお教えします」とも言われ、女性はこれに従った。
被害者はその後、ミッションバレーのコインランドリー内にある「ビットコインATM機」で送金するように指示され、結果的に1,800ドルを失った。
サンディエゴ市警察の説明では、警察官/保安官が一般市民にビットコイン機で支払いを求めることはないので、絶対に送金をしないようにと警告している。
警察当局はこの事件を調査中だ。
被害者は詐欺に気付いてから、3日連続で警察の非緊急回線に電話したが、警察官が電話口に現れるまで5時間も待ち続けたと、当局の緩慢な対応に不満を漏らしている。
「65歳になって、こんなことが起きてしまい、弱気になった」と被害者は肩を落とす。
(2022年6月16日号掲載)