2020年9月19日
米西部で続く山火事の影響を受け、西部3州では大気汚染が深刻化している。カリフォルニア州は過去最大規模の火災を記録した。
西海岸の各地は広範囲にわたって濃い煙に覆われており、オレゴン州ポートランドの大気汚染度は9月15日、世界の主要都市の中で最悪レベルになった。
米当局もポートランドの大気汚染を「危険」な水準として警戒を呼びかけた。
一部の航空会社がポートランド発着便の運航を一時見合わせるなど、影響が拡大。
アラスカ航空は乗客と乗員の安全を考慮し、9月14日午後から15日午後にかけてポートランドとワシントン州スポケーンを発着する全便の運航を一時的に見合わせた。
「大気汚染は歴史的なレベルに達している」。ワシントン州のインズリー知事は15日の記者会見で、環境汚染が続く現状に強い懸念を示した。
世界各地の大気汚染状況を公開しているスイスの空気清浄器メーカー「IQエアー」によると、15日午後時点で、世界の主要都市ではポートランドが最も汚染度が高く、シアトルが2位、ロサンゼルスも上位だった。
サンディエゴ郡内でも15日、長時間にわたり、煤煙の影響で空がオレンジ色に霞んでいた。
カリフォルニア州中北部で延焼中の大規模な山火事による大気汚染がサンディエゴ郡まで広まったと考えられる。
サンディエゴ郡当局は呼吸器疾患や心臓疾患を持つ高齢者や幼児の保護者に対し、不要な外出や屋外での行動を避けるよう注意を喚起している。
山火事による粒子汚染が原因でサンディエゴ郡まで拡大した大気汚染について、郡当局は9月の第3週末には平均レベルに戻る見通しを発表した。
統計によると、ここ数年、サンディエゴ郡の平均気温と乾燥度は年々上昇しており、山火事と煤煙被害のリスクが高まっている。
9月17日にサンディエゴ郡アルパインの南東部で発生した山火事「ヴァレー火災」は、19日現在、焼失面積17,665エーカー、損壊家屋30戸以上の被害が確認されているが、折からの強風が和らいで、湿度の上昇も予測され、消火活動の条件が好転した。
郡当局の発表によると、17日午後までに全体の35%を消火しており、壊滅的な延焼は阻止されそう。
サンディエゴ郡で発生する山火事の誘因となるのは、秋〜初冬にかけて山間部から南カリフォルニア一帯に吹き込む強い熱風「サンタアナ」。
2003年と2007年にはサンディエゴ郡の都市部まで延焼が拡大し、甚大な被害を出した。
(2020年10月1日号掲載)