2023年2月9日
サンディエゴ動物園サファリパークで2013年に生まれた絶滅危惧種のパシフィック・ポケット・マウス (名前:パット) が、人飼飼育で生存している最高齢のネズミとしてギネス世界記録に登録された。
体重がペニー (1セント) 硬貨3枚分しかない軽量の小ネズミで、誕生から9歳209日を経て受賞した。パシフィック・ポケット・マウスはカリフォルニアの固有種。
かつてロサンゼルス郡からサンディエゴ郡南端、さらにメキシコ国境付近まで生息していた。
しかし、1993年から遡 (さかのぼ) る20年間は存在が確認されず絶滅したと考えられていたが、同年にオレンジ郡デイナポイントで個体群が再発見された。
現在もパシフィック・ポケット・マウスの生息域は減少を続け、デイナポイントに1つ、キャンプ・ペンドルトン海兵隊基地の
軍事訓練区域に2つの小さな個体群が残っているのみ。
存命する野生数が少数であることから、当初は保全遺伝学の見地からも、残された種をかつての生息域に戻すにはリスクが高す
ぎると判断。
2012年にサンディエゴ動物園サファリパークにポケット・マウスの保護繁殖施設が設立され、生態学と保全遺伝学の研究者が行動、生態、ストレス、遺伝的変異、特定地域の動植物と自然環境の相互関係などの研究を続けている。
種の子孫繁殖にも成功し、施設内のマウスの数は2倍以上に増えた。
サンディエゴ動物園・ワイルドライフ・アライアンスは、この希少種を絶滅の危機から救う目的で繁殖プログラムを充実させ、人工飼育下にあるネズミを将来的に野生へ戻す計画を立てている。
*写真はイメージ
(2023年2月16日号掲載)