2021年7月1日
年間を通して豊かな陽光が降り注ぐ地域では、長年の紫外線 (UV) 暴露による目の病気である翼状片 (pterygium / *発音=プテリジン) を発症しやすいと、多くの眼科医が警鐘を鳴らしている。翼状片とは白目の表面を覆う結膜組織が過剰増殖し、次第に黒目に進入する病気。
初期の自覚症状は目の充血や目の中に異物感を覚える程度だが、10年以上経過すると、角膜にまで進んで乱視や視力低下を引き起こす。
瞳孔が覆われてしまうと視力が失われる恐れも。
両眼ともに発症することがよくある。
患者は50歳以上の中高齢者に多い。
翼状片は良性腫瘍の眼病で、生命を脅かすことはないが、徐々に拡大して視力に影響してくると手術が必要となり、角膜から翼状片組織を丁寧にはがし、結膜の下にある一部の組織も切除しなければならない。
切断された結膜の部分を上下の正常な結膜で覆い、縫合を行う。
再発した場合は、細胞増殖抑制薬を使用し、健常な結膜を移植する。
これまで翼状片の原因は不明とされてきたが、最新の医療研究は紫外線に対する無防備が深く影響を及ぼしていると指摘する。
翼状片の患者は、太陽光線に身を曝 (さら) す生活を日常としている人々に多く見られる。
とりわけサンディエゴのような “アウトドア天国” に多く、海やプールなどに日差しが照り返される環境が発症率を助長するという。
一般的には紫外線と皮膚がんの因果関係がよく知られているが、翼状片などの聞き慣れない眼病への危険性についてはあまり語られてこなかった。
専門医は基本的な防衛策として、外出の際のサングラス着用を奨励している。
(2021年7月16号掲載)