3/30/2026
▪️米紙報道 数週間規模の作戦案浮上
ワシントン・ポスト紙は3月29日、米国防総省がイラン国内で数週間にわたる限定的な地上作戦を想定した準備を進めていると報じた。全面侵攻ではなく、特殊作戦部隊や通常の歩兵部隊による急襲が柱で、対象として湾岸の重要石油輸出拠点ハルグ島や、ホルムズ海峡近くの沿岸施設が取り沙汰されている。商船や軍艦を狙う兵器の捜索・破壊が主眼とされるが、作戦が実行されれば、米軍はイランの無人機、ミサイル、地上火器、即席爆発装置などの危険に晒 (さら) されることになる。
▪️トランプ氏の最終判断 なお不透明
ただ、トランプ大統領がこうした作戦を実際に承認するかどうかは不透明。ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官は、国防総省の役割は大統領に最大限の選択肢を示すための準備にあると説明し、現時点で大統領が決断したことを意味しないと強調した。つまり、作戦案の存在は確認されつつも、政治判断はまだ下されていない段階だ。
▪️中東への兵力増強 既成事実化する米軍展開
一方で、軍事的な布石は着実に打たれている。トランプ政権はイランを巡る戦争が5週目に入る中、中東に海兵隊を追加派遣するなど、陸軍第82空挺師団から数千人規模の兵力投入も検討してきた。米中央軍は3月29日、約3,500人の追加兵力が強襲揚陸艦トリポリで中東に到着したと発表。第31海兵遠征部隊の海兵隊員・水兵に加え、輸送機や戦闘攻撃機、水陸両用作戦用の戦術資産も同時に展開されたという。政権内ではこの1か月、ハルグ島の制圧やホルムズ海峡沿岸への急襲の可能性が議論され、作戦期間は「数週間」で終わるとの見方もあれば「2か月程度」とみる向きもある。
▪️イランは強硬姿勢 地上戦歓迎の構え
これに対し、イラン側は報復を辞さない強硬姿勢を鮮明にしている。モハマド・バゲル・ガリバフ国会議長は3月30日、敵は表向きには交渉を語りながら、裏では地上攻撃を計画していると批判し、米兵が地上に来れば焼き尽くし、地域の協力国にも永続的な代償を払わせると威嚇した。ミサイルは配備済みで、攻撃は継続中だとも主張し、米軍の弱点を把握していると強調した。また、イラン海軍トップも米空母エーブラハム・リンカーンが射程圏に入れば攻撃対象になると警告している。

▪️紅海にも火種 地域全体へ拡大の恐れ
イランはさらに、戦闘が自国の島々や領土で起きた場合、新たな戦線を紅海の入口バブ・エル・マンデブ海峡に広げる可能性も示唆した。イラン系メディアは、同海峡で「信頼できる脅威」を形成できるとする軍関係者の見解を伝え、親イラン武装組織フーシ派も必要なら関与する用意があると報じた。ホルムズ海峡だけでなく紅海の海上交通まで不安定化すれば、世界のエネルギー輸送と物流に深刻な影響が及びかねない。
▪️外交仲介も始動 軍事と対話を並行
こうした緊張の一方で、外交の動きも続く。イランと900キロの国境を接するパキスタンは、米国とイランの仲介に乗り出し、サウジアラビア、トルコ、エジプトの外相を招いた協議を2日間の日程で始めた。軍事準備が進む一方、対話の糸口も模索されている構図だが、双方の威嚇が激しさを増す中、局地的な限定作戦がより広範囲な地域紛争へ発展する危険はむしろ高まっている。今回の報道は、米国の選択肢が空爆や海上封鎖に留まらず、限定的とはいえ地上作戦にまで及び得ることを示し、中東情勢が新たな局面に入ったことを印象づけた。
✳︎画像は AI が生成したイメージです。