Thursday, 28 March 2024

ひとり/おひとりさま

個人行動を好む私。▽旅の醍醐味はひとり旅。目的地とテーマを決め、詳細な行動表を完成させ、独自の世界観を作り上げて出発。人との出会いも期待していないし、移動中に話しかけられるのも苦手。誰もいない大自然の中を歩いても、寂しさはなく、むしろ景観を独占できる至福を享受している。昔は「哀しい男」「変わり者」と思われたことも。今は違う。SNSの発達で、マニアックな個性が百花繚乱の時代。酔狂が変人扱いされなくなった。▽単独行動を「ソロ活」と呼ぶらしい。「ひとり」を楽しめるのは自身の趣向/嗜好を熟知している人——と最大限に評価してくれるのは「ソロ活コラムニスト」の浅井真由美氏。ソロ活も多彩 (やろうと思えば、ほぼ制覇できるものばかり):1人温泉、1人回転寿司、1人映画館、1人ボウリング、1人バスツアー、1人京都、1人心霊スポット、1人プラネタリウム、1人座禅 (本質的に1人でしょう)・・・全て経験済み。1人中華料理店 (円卓を回して食べる)・・これもできそう。▽楽勝ムードがスッ飛んだ項目:1人スイカ割り!?  臨場感を味わうために真昼の海岸で実演するという。野次馬を近づけない絶対的な環境条件すら保証されていない。ソロ活でも次元が違う。個人行動の意味が根本的にひっくり返っている。悟りを開いた達人の境地だ。私には無理。 (SS)
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▽先日、NHKの「ごごナマ」で、マグカップと電子レンジで簡単にできる「おひとりさまご飯」のレシピが紹介されていた。料理研究家の村上祥子さん (77歳) が考案した時短料理ワザで、最近とてもハマっている。具材や調味料を大きめのマグカップに入れてレンチンするだけで、おかずや汁物が簡単にできあがる。彼女が提唱している「1人分冷凍パック」もとても便利。野菜や肉魚を食べやすく切って、ジップロックに入れて凍らせる。凍ったままチンするだけで、主食、おかず、汁物に変身する。作りすぎない、食べすぎない。料理が面倒になってくるシニア世代にぴったりの調理法だ。ふたりでも、ひとりでも、カンタンに料理してシッカり食べていけそうだ。▽父も兄も男やもめになってしまった。「新婚さんいらっしゃい」が大好きで我が家の太陽のような存在だった母、そして、高校の同級生と一緒になった心優しい義理の姉が、相次いで、我が家からいなくなった。配偶者との死別は、人生において最もストレスフルな出来事であると言われているけれど、父も兄も一時期、相当にこたえていた。「配偶者の死。そこからが、あなたの本当の人生です」とは社会学者、加藤諦三さんの言葉。どちらが先に逝くか分からないけれど、おひとりさまになっても、元気に生きる楽しみを今から見つけたいと思う。 (NS)
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日本へ留学する前、台湾にいた頃の話。通っていた学校の水曜日授業は「半日」だった ("小週末"と呼ばれていた)。学校が終わってから、いつも友達とぶらぶらしたり、買い物したりしていた。楽しかったが、ひとりの楽しい時間も欲しくて、よく自分ひとりで映画館へ行き、"Buy One Get One Free" のディールで2本の映画を観ていた。映画館の観客はまばらで、多くてもせいぜい10人くらい。広々とした館内でお菓子を食べながら、静かな雰囲気の中でのんびり映画を観るのは最高だった! 16、17歳の生徒が、学校の帰りに制服のまま映画館へ通っていたので、ちょっと目立っていたかもしれない。ある日、誰もいない2階で映画を観ていたら、知らない男の人が私の隣に座った。えっ? 不自然でおかしいなと思いながらも "気が強い" 私は動かず、そのまま座っていた。そしたら、、、露出狂の変態だと分かり、すぐ席から立って、大声で「この人は変態!」と叫んだ。その男はビビって出口から逃げた。怖いもの知らずの私は、また座席に腰を下ろして映画を最後まで観た。私って強すぎ? それともバカ? (S.C.C.N.)
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yoko
子どもの頃はひとり遊びが得意で、ひとりでいても苦にならないタイプだった。ひとりでできる趣味もたくさんあり、独身生活も長かったので “おひとりさま” は得意 (?) だ。おひとりさまの外食も、映画鑑賞も全然平気。独身時代は、週末に “おひとりさま” でぶらぶら買い物に行ったり、フリースクールに行ったりし、家ではドラマを何シーズンもDVDで観て、適当に料理して、猫たちとだらだら過ごし、毎日をそれなりに満喫していた。結婚して4人家族になってからは “おひとりさま” 時間がなくなった。朝起きた瞬間から寝るまで、おしゃべりな娘がずっと喋っている。そこにおしゃべりな旦那とまあまあ喋べる息子も加わり、私の周りは家にいる間中、とても賑やかだ。これはこれで幸せなのだが、時々、一人時間が欲しくなる。私が “おひとりさま” になれる時間は、朝、子どもたちを学校に降ろした後の車中と、帰宅前の買い出しだ。最近はコロナの影響でオフィスで “おひとりさま” の時が多い。これはちょっと淋しい。。。(YA)
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20歳の時、初めてひとり旅をした。行き先はタイのバンコク。バックパック一つであちこちを歩き回った。小さなハプニングはいろいろあったけれど、楽しい旅だった。屋台のタイラーメンが美味しくて、毎日食べ歩いた。いかにも高級そうなレストランは、ひとりで入るのはためらわれたが、美味しいと評判のパイナップルチャーハンとトムヤムクンスープをどうしても食べたくて、意を決して入った。小汚い外国人の若造にも店員さんは優しく接してくれてありがたかった。移動にはトゥクトゥク (三輪タクシー) を利用。乗車前の値段交渉は必須とタイ在住経験者から強くアドバイスされていたので、人生初の値段交渉も経験した。旅行者には数倍の値段を吹っかけてくるのが常識らしく、割引を要求するなんてハシタナイと思ったらダメなんだそうだ。ドライバーさんはおしゃべり好きでフレンドリーな人が多かった。ひとりのおじさんドライバーが「いつか日本に行ってみたい、飛行機代はいくらするのか」と聞いてきたので、頭の中でタイバーツに換算して自分が買った往復航空券の値段を言ったら、ひどくびっくりして「僕には一生無理だ〜」と寂しげに呟いた。後でゼロの数を2つくらい多く言っていたことに気がつき、罪悪感に苛 (さいな) まれた。ごめんなさい〜。 (RN)
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suzuko-san
日本では、50歳までに一度も結婚しない人の割合は、男性4人に1人、女性6人に1人という統計がある。仮に運よく?結婚できても、その配偶者とは離婚や死別などで、早かれ遅かれ、お別れの時が必ず訪れ「おひとりさま」の生活を強いられる時が来る。今年2月に亡くなった、元プロ野球の野村克也監督は妻に先立たれ、3年後に妻の世界に行くまで、周囲に「寂しい、寂しい」と嘆き続けながら逝ってしまった、という。いきなりお一人様を強いられて、一人の生活を楽しむすべを知らなかったのであろう。私の友人も、60代前半で夫を亡くすまで、一人暮らしの経験が全くない人であった。未亡人となって、夫の存命時と同じ空間に一人でいる現実が耐え難かったんだろう。毎日のように私に国際電話をかけてきては、孤独を癒していた。それも半年も経つと少しずつ慣れて、3〜4年たった頃からは「一人ほど気楽なものはない」に変わり、お一人様の生活を現在も楽しんでいる。ここが男女の差であろうと思う。男性は基本的に一人では生きられない、生きたくない動物だが、女性は往々にして一人でルンルン。集う友達もそれなりにいる。平均寿命の差でもわかるように、女性の方が遥かにしぶとい、のだ。かく言う私は、とりわけ「しぶとく」生きているお一人様?である。(Belle)
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jinnno-san
ご飯を作るのに、1人分では作りがいがないよね〜。2人分、またはそれ以上作ってしまうでしょ? ハウスカレーの箱に入ったルーは、半分で4人分、全部で8人分だと思うけど、全部使う (笑)。で、具がめちゃ多いので、結局、10人分にはなる (笑)。手の込んでる料理や美味しい料理ほど、おひとりさま分なんて、もったいないわーー。パンを焼くのに一切れだけ焼かないでしょ。1斤 (きん) は焼くでしょ (笑)。この間、パエリアを作ったんだけど、パエリアって大きなフライパンから小皿に取ってみんなで食べるイメージがあるのに、わたしは大型フライパンを持ってないので、大量の炒め物となるとデカイ中華鍋になってしまう (極端 笑)。でも、米2合分は作りたい (食べる2人に対して4人分 笑)。中華鍋は平らじゃないし、以前にもう失敗してる (底辺の部分だけ焦げた!笑)。そこで考えたのが、小型フライパンを同時に3つ火にかけ、3個作る、レストラン方式~。これで一度に4人前できるわ (フライパンは3つしかないけど 笑) わたしには、おひとりさまの料理が作れないんだわーー。だから、食べ過ぎて、太るのねー (わかっちゃいるけど、やめられない、かっぱえびせん状態よ 笑)。(りさ子と彩雲と那月と満星が姪)
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実家を出てひとり暮らしをするまでは、ひとりでカフェやレストランに入ることができなかった。見られているはずもないのに、ひとりでいると「寂しい人、友達がいない人」と勘違いされると思っていたのだ。それはもう、ウン10年も前のことだ。今思えば、そんなこと気にしていたなんてちゃんちゃらおかしい。今はむしろ、ひとりで行動する方が好きだ。買物も自分ひとりの方が好きなところを見て回れる。昔は友達とよく行っていたが、今は絶対にひとりがいい。私の友人の中には、ニューヨークのチャイナタウンでひとりでレストランに入り、相席で飲茶を食べ、パリで自分の好きなアーティストが個展を開けば単独で飛んでいくという、とても行動力のある人がいる。私はカフェやファーストフード、買物など、自分なりに「お一人様」を十分に楽しんでいるつもりでいたが、きっと彼女から見れば、私のお一人様なんてまだまだ「井の中の蛙 (かわず)」といったところか。私もいつか、彼女のようにやりたいことを見つけた時、サッと行動できる人間になりたいなぁ。 (SU)

(2020年7月16日号に掲載)