犬のお友達 (2012.2.1)

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suzukisan.jpg     鈴木 博美

ドッグトレーナー

2匹のゴールデンレトリバーとの出会いをきっかけに犬の世界に興味を持つ。楽しく、且つ効果のあるトレーニング方法を求めて渡米。ケープ・エイブル・ケーナ イン(Cape-Able-Canine) のドッグトレーナー研修プログラムを終了。現在、ケーナイン・トゥ・ファイブ (Canineto Five) を立ち上げ、日本語によるドッグトレーニングクラスも開講している。幼稚園教諭の経験もある。

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犬のお友達
       

犬は私たち人間と同じく、群れていることを好む動物のようです。

特に、パピー時代の様子は誰もが微笑んでしまうほど、他の犬にじゃれつき、私たちにじゃれつき、家族みんながそろっている時などはことのほかうれしそうです。

犬の社会化継続の目的で行っているデイケアでも、犬たちが友達に会い、とてもうれしそうに同じ時間を過ごしています。

とはいえ、すべての犬が同じようにデイケアに来て、多くの犬との時間を過ごしたいと思っているとは限りません。

犬の成長や性格に合わせた犬同士の関わりを持たせてあげなければ、犬にとってはかえってストレスになったり、思わぬ問題行動を引き起こすことにもなりかねません。
 

私たち人間も性格や育ってきた環境により、たくさんの人が集まる場所を好む人もいれば、ゆっくりと家で過ごすことを好む人もいますよね。

また、年齢にもよります。

20代には頻繁に社交的な場所に出掛けて新しい出会いを楽しみ、40代になると親しい知人とのくつろいだ時間を楽しむものではないでしょうか。

犬もまた、パピー時代には新しい出会いに期待を寄せ、思春期・青年期には安心できる遊び友達との時間を楽しみ、成犬期には他の犬との関わりを適度に持ちながらもオーナーとの時間をたっぷりと過ごしていく。

そして、静かな老後を迎えていくことでしょう。
 

 

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仲良く遊ぶとは
 

自分の犬が他の犬と仲良くしてほしいと誰もが思うことですよね。

では、考えてみてください。

ここでいう「仲良く」とは具体的にどのような行動ですか。
 

  • 広い場所を一緒に並んで走る
  • 1つのオモチャを引っ張り合うなど共同で使う
  • レスリングのように体をぶつけ合って、寝転んだり、あまがみしあう
  • 追いかけっこや、狩り遊びを楽しむ

 

などでしょうか。
 

 

 

成長における変化

今まで多くのパピーの成長に携わってきて感じることは、これらの行動はどの犬にも見られるものではないことです。

まずはこのことを知ってほしいと思います。

犬種独自の特徴、その犬自体の持って生まれた気質、育っている環境による性格などにより変化していきます。

また、年齢とともに「他の犬と遊ぶ」という行動は減少していく犬がほとんどで、パピー時代から思春期までは1日中他の犬と遊ぶことを好んだ犬も、3歳を過ぎると適度に遊ぶことで満足するようになります。
 

 

 

犬の種類による違い
 

とても強気のオスのテリアは気が合うメスとの1対1の遊びを好み、陽気なドゥードルは初対面であっても昔から知っているかのように振る舞い、シェパードはオーナーの近くにいることで幸せを感じているようです。
 

あなたの犬の行動をじっくりと観察し、オーナーは何を提供することが愛犬にとって幸せであるかを判断してほしいと思います。

周りの犬を見て、それらの犬と同じことを求めても、幸せな時間は見つけられないでしょう。

みんなと友達になることは必要ではありません。

でも、とても気の合う遊び友達が見つかることはなんと幸せなことでしょう。

私たち人間と同じです。

パピーであればあるほど多くの可能性を試していくことができます。

どのようなタイプの遊びを好み、どれほどの活動量があるかを判断しながら、パピーの成長にふさわしい犬友達を見つけることで充実した毎日を送ることができます。

それと同等にとても重要なことはオーナーとの時間を楽しむことです。

思春期の終わりを迎える頃には心身ともに成長していますから、様々な活動を愛犬と楽しむことができます。

経験不足やトラウマなどにより、他の犬との関わりを上手に持てなくなってしまった愛犬に無理に犬友達を見つけようとするよりも、オーナーとの充実した時間を持つことでその犬の人生 (犬生) は豊かになるはずです。

 

※ここで紹介する方法はあくまでも一般的なものです。犬の年齢・気質により大きく変化しますので、専門家と相談しながら取り組まれることを推奨します。
 
(2012年2月1日号掲載)