かぜ薬の副作用と危険な薬と薬の反応(2015.3.1)

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son_new8.jpg曽 碧光

米国中医薬研究所所長

1932年台湾に生まれる。
東京大学農芸化学修士、米国カンサス大学微生物学修士、東京大学薬学博士、 元米国コネチカット大学病理学助教授、
第1 回世界中西医結合大会審査委員、セント・エリザベス病院 (ボストン) 筋ジストロフィー主任研究員、ドライ・アイ眼科研究所生化学顧問、元米国漢方研究所所長、現米国中医薬研究所所長。


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かぜ薬の副作用と危険な薬と薬の反応
       

Q : 40歳の女性ですが、かぜや感冒にかかった時の頭痛によくタイレノール (tylenol) を服用しています。

鼻詰まりに鼻詰まり緩和剤 (Dimetapp Cold Drops) をタイレノールと一緒にとることもしばしばあります。

タイレノールと鼻詰まり緩和剤を一緒にとった時に不整脈や血圧が急激に上がる症状は、タイレノールと鼻詰まり緩和剤の危険な反応によるものでしょうか。

このかぜ薬の薬と薬の危険な反応を避ける感冒やかぜの漢方をお教えください。

 

 
A : イレノールという商品名の鎮痛剤はアセトアミノフェンという化学名で知られています。

1970年代までアスピリンが鎮痛剤として圧倒的に使われていましたが、胃潰瘍やアレルギー反応を起こす副作用があるので、非アスピリン鎮痛剤アセトアミノフェン (タイレノール) の登場によって人気がアセトアミノフェンに集まりました。

今では米国における年間29億ドルに及ぶ鎮痛剤売上高の48%をこのアセトアミノフェンが占めており、よく知られている商品名がタイレノール、アナシンなどです。


 米国における腎不全患者の10%はタイレノール服用によるとジョンズ・ホプキンス大学神経科ポール・フェルトン教授らがニューイングランド医学誌に発表したので、テレビ、新聞で大きな反響を起こしました。

タイレノールの別の副作用として肝臓障害がピッツバーグ大学の研究者たちによって米国医学会誌 (JAMA) に報告されています。

また、ニュージーランドの研究で、タイレノールを鼻詰まり緩和剤と一緒にとると、不整脈や急激な血圧上昇を起こす危険な反応症状が現れることが分かりました。


 従って、感冒による頭痛に肝臓と腎臓障害を起こすタイレノールを使う代わりに、このような副作用のない漢方である葛根湯の服用をお勧めいたします。

葛根湯は感冒による頭痛をいやすばかりでなく、感冒ウィルスをいち早く体外に排除する効果があるので、感冒が早く治るように働きます。

また、鼻詰まり緩和剤は血圧降下剤の効果を妨げるので、血圧降下剤を服用している人は鼻詰まり緩和剤を使用しないようにしなければなりません。


 このように、鼻詰まり緩和剤を使う代わりに葛根治鼻湯を服用するとこれらの副作用が避けられます。

感冒による鼻水の症状に抗ヒスタミン剤が使われていますが、眠気を起こす副作用があるので車の運転には危険です。

感冒の鼻水症状にも葛根治鼻湯を使用すると、このような副作用が避けられます。葛根湯と葛根治鼻湯は西洋薬のかぜ薬のような薬と薬の危険な反応がないので、安心して服用できます。


 













 
(2015年3月1日号掲載)      

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