Thursday, 28 March 2024

Immigration Law 移民法豆知識

市民権と市民権証書 (2015.9.16)

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ishinabe_face.gif石鍋 賢子

米国カリフォルニア州弁護士

上智大学外国語学部英語学科出身。ビジネス系の移民法専門弁護士として20 年の経験を持つ。グレイ・ケリー・ウェア&フリーデンリッチ、ララビー&アソシエーツ等法律事務所勤務を経て、独立し、事務所設立。

米国弁護士会(ABA)、サンディエゴ弁護士会(SDCBA), 米国移民法弁護士会(AILA) 会員。サンディエゴ在住19 年。

 ご質問、ご連絡はこちらまで

 

 

 
 
       
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民権と市民権証書

       
 

Q 私は永住権保持者ですが、市民権を取ることを考えています。

ところで、市民権の申請書N-400のほかにN-600というフォームがあることに気付きました。

これは「市民権証書申し込み書」 と書いてあります。市民権を申請するには両方申し込まなければいけないのでしょうか?

それとも、市民権を取得した後で、市民権証書を別に申し込まなければいけないのでしょうか?

N-600は申請料が600ドルと高額なので、ちょっと心配です。

 

 

 

A 一言で言うなら、N-400は市民権を持たない市民権取得の条件を満たす永住者が、一定の手続きを経て新たにアメリカ市民になること、つまり帰化 (naturalization) するための手続きです。

N-600は、すでに法律上市民権を既に持っていると解釈されるべき人が、それを証明する書類が必要である場合に申し込んで発行してもらう、市民権を持っていることの証明書類です。

帰化手続きでは、申請後に指紋採取があり、その後面接を受け、面接時に口頭でアメリカの歴史、政治について所定の質問リストより数問が聞かれます。

また、英語力テストとしては、ごく初歩的 (中学1年生くらいのレベル?) な英語一文の書き取りがあります。

面接で承認されると、後日、集団宣誓式への招待状が届き、連邦裁判官の立会いのもとで宣誓が執り行われ、帰化が成立します。

宣誓当日まで、当事者は市民権取得のための居住条件等を満たしていなければならず、宣誓式の会場入り口でグリーンカードが回収され、宣誓式後、本人の写真とサインの入った市民権証書が配布されます。

この日から、申請者はアメリカ人となります。

一方、アメリカ市民権を生まれながらに持っている場合があります。

よく知られているのは、アメリカで出生した場合です。これは両親の国籍にかかわらず、また両親を通じて他の国籍を持っているかどうかにかかわらず、アメリカ国籍を自動的に持つ (出生地主義) ことになります。他にも、アメリカ国外で生まれたものの出生時からアメリカ人、もしくは出生後、一定の条件が満たされることによって自動的にアメリカ市民になったと解釈される場合があります。

これらには、親の片方がアメリカ人か、どちらがアメリカ人か、両方アメリカ人か、親と現在一緒にアメリカに住んでいるか、親が過去にアメリカに住んでいたか、いつ生まれたか (適用される法律が変わっているので)、現在18歳未満であるか、親が結婚しているかなど、いろいろな要素が影響するので、個々の状況を具体的に当てはめてみなければなりませんが、もし市民とされるのであれば、帰化ではなく、市民権証書を証拠として取り寄せることができます。

ただし、これには帰化手続きと同様、面接を含めて、約1年近くの審査期間が必要となります。

そこで、市民の条件を満たしているのであれば、直接アメリカのパスポートを申し込むという方法もあります。

この場合は通常のパスポート申請料を払えばよく、面接もありませんので、時間と費用の面で大きな節約になります。

とはいえ、申請者自身 (または保護者) が、本人がどのような状況でアメリカ市民になるのかを把握している必要があり、当然ながら、条件を満たしていると立証するための書類をすべて用意し、提出しなければなりません。

さらに、出生時にアメリカ市民であったという場合には、「アメリカ市民の海外出生の領事報告書」という書類を入手できます。

これは出生証明書であり、アメリカ市民権の証明でもありますが、国務省から発行されるものですので、発行にはやはり数か月ほどかかります。

この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものであり、個々のケースに対する法律のアドバイスではありません。

  (2015年9月16日号掲載)

     

 

 

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永住権スポンサーに収入がない?指紋採取について (2015.7.16)

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ishinabe_face.gif石鍋 賢子

米国カリフォルニア州弁護士

上智大学外国語学部英語学科出身。ビジネス系の移民法専門弁護士として20 年の経験を持つ。グレイ・ケリー・ウェア&フリーデンリッチ、ララビー&アソシエーツ等法律事務所勤務を経て、独立し、事務所設立。

米国弁護士会(ABA)、サンディエゴ弁護士会(SDCBA), 米国移民法弁護士会(AILA) 会員。サンディエゴ在住19 年。

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永住権スポンサーに収入がない?指紋採取について

       
 

Q 私はアメリカ国籍を持っています。

 

サンディエゴに滞在中の日本人と再婚を考えているので、永住権のスポンサーになろうと思いますが、現在大学院に在学中で収入がありません。

 

アフィダビット・オブ・サポート (経済援助宣誓書) はどうすればいいでしょうか。

 

 

 

A 永住権取得のための手続きの一環として、スポンサーとなる請願者は経済援助宣誓書を提出しなければなりません。

 

これは、永住者が政府の負担にならないという条件を満たすため、万が一、永住者が連邦政府による特定の生活保護の受益者となった場合は、スポンサーが政府にその費用を払い戻す契約に合意する、という性格のものです。

 

 

金額の目安としては、連邦政府が発表する貧困インデックスが用いられ、該当する家族者数の数値の最低125パーセント (スポンサーが現役米軍人の場合は、貧困インデックスの100パーセントの数値) 必要です。

 

ちなみに、2人家族のカリフォルニア州の貧困インデックスは15,930ドルですから、最低19,912ドル (軍務関係者は15,930ドル) の年収があれば、永住権スポンサーとして条件をクリアできます。

 

 

 

 

 

 

 

Q これは主人 (永住を希望する申請者) の収入でもいいのでしょうか。

 

 

 

A はい。

 

 

米国市民権を持つ妻が外国人夫をスポンサーする場合によくありますが、スポンサーが無収入 (主婦の場合など) で、受益者 (夫) の就労所得に100パーセント依存する場合でも、同様の勤労所得が永住権取得後も継続すると考えられるのであれば、年収が上記の最低限を上回っていれば問題ありません。

 

 

 

 

 

Q 主人は近々定年退職の予定です。

 

 

年収の代わりに資産を使うことはできるでしょうか。

 

 

 

A はい。条件は、経済的に困難な状況を引き起こさずに、1年以内に現金化できる流動資産であること、金額的には、上記最低必要額と年収との差額の5倍相当の価値であることですが、今回のように受益者が米国市民の配偶者の場合は、差額の3倍相当になります。

 

預貯金、証券等の投資資産などが通常資産として使われますが、不動産の場合は市場価格マイナス家のローンや抵当などの負債を差し引いた金額となります。

 

 

なお、このような「宣誓書」を提出しても、将来受益者が生活保護を受けるようなことにならなければ影響ありません。

 

 

 

 

 

 

Q 主人は出張が多いので、予定どおり指紋採取に行けるかどうか心配です。

 

 

 

A 書類申請から約2~3週間後に指紋採取の通知が届きます。

 

 

それには指紋採取の場所 (チュラビスタまたはサンマルコスの指紋採取所)、日時の指定がされています。

 

 

ただし、この手続きは面接ではなく、窓口職員が本人確認後、機械的にグリーンカード用のデジタル写真と指紋を採取するだけの手続きですので、日時にさほどこだわる必要はありません。万が一遅れても、営業時間外にならなければ大丈夫です。

 

 

また、その日の都合が悪い場合、他の日時に行うことも可能です。

 

 

一つの方法は、通知を移民局へ返送して変更を申し立て、別の日時を指定してもらう方法です。

 

 

新しい指紋通知が発行されますが、発行までに1~2か月かかるかもしれません。

 

 

急に当日都合が悪くなったような場合、または再通知発行まで待ちたくない場合には、通知を持参して直接指紋採取所に出頭することも可能です。

 

 

この場合、いわゆる飛び入りになるわけで、無予約ですから、多少待たされるかもしれないことを覚悟しておいてください。

 

 

ただし、指定日に行きそこなってしまったからといって、そのままにしておくと指紋採取を拒否したとみなされ、永住権申請が却下されてしまう可能性もありますので、ご注意ください。

 

この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものであり、個々のケースに対する法律のアドバイスではありません。

  (2015年7月16日号掲載)

     

 

 

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再入国許可証 (2015.5.16)

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米国カリフォルニア州弁護士

上智大学外国語学部英語学科出身。ビジネス系の移民法専門弁護士として20 年の経験を持つ。グレイ・ケリー・ウェア&フリーデンリッチ、ララビー&アソシエーツ等法律事務所勤務を経て、独立し、事務所設立。

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再入国許可証

       
 

Q 帰任が決定した退職間近の永住権保持者です。

 

アメリカで老後を過ごしたいので、グリーンカードをキープするつもりですが、まだ少し現役期間が残っています。

 

アメリカ法人のポストも当分兼任するので、しばらくは往復することになりそうです。

 

永住権を失効させないためには、どうすればいいでしょうか。

 

 

 

 

A まず原則として、丸1年アメリカを出国していると、永住権を放棄したとみなされます。

 

ですが、11か月だったら問題ないかというと、実際には6か月、あるいはそれ未満でも、まとまった不在期間があると、次の入国の際にいろいろ質問されることになります。

 

3〜4か月に一度くらいの頻度で往復を繰り返しているのであれば、取りあえず放棄したとはみなされないと思われますが、それでもアメリカ滞在期間が短いのであれば、何かと質問を受けることになり、煩わしいかもしれません。

 

アメリカ出国期間が1年を超えると予想される場合はもちろんですが、1年未満であるとしても、事情があってしばらく日本に住むことになるという場合には、再入国許可証を申請しておいたほうがいいかもしれません。

 

これは入国審査でトラブルになる前に、自主的に手続きを行い、出国が一時的なものであるということを予め立証したということになります。

 

 

 

 

Q もうすでにアメリカを出国してしまったのですが、日本から書類を送って申し込むことはできますか?

 

 

A いいえ、再入国許可証はアメリカ滞在中に申請書を提出しなければなりません。

 

 

 

 

Q 指紋採取があると聞きましたが、これは日本の大使館でできますか?

 

 

A いいえ、再入国許可証手続きで必要な指紋採取は、アメリカの移民局付属の指紋採取所でしか行うことができません。

 

書類提出後、指紋採取まで出国を延ばすか、一度出国して、指紋採取のために一度アメリカに戻っていただくことになります。

 

 

 

 

Q 東海岸に住む友人の住所を使ったので、指紋通知には東海岸の採取所が指定してあります。

 

西海岸の採取所に変更できますか?

 

 

A 指紋通知を持参していれば、他の指紋採取所へ行くことができます。

 

つまり、指定日時以外に、指定場所以外で、予約なしで受け付けてもらうということです。

 

よほど混雑していない限り、通常、どの指紋所でも可能ですが、できれば事前に確認しておくことが望ましいです。

 

これは同じ指紋採取所で、指紋通知の指定日を変更したいときも同様です。

 

 

 

 

Q 再入国許可証の発行まで数か月かかるようですが、申請後は発行までアメリカで待機していなくていいのですね。

 

逆に、申請中にアメリカへ戻ることに制限はありますか?

 

 

A ありません。いずれにせよ、指紋採取を済ませていない場合は、そのために一度入国する必要があります。

 

 

 

 

 

Q 最終的に永住するのが数年先になりそうな場合、再入国許可証は何回申請できますか?

 

 

A 申請回数の限度は特に規定されていません。

 

ただし、アメリカに永住する意思があり、あくまで一時的にアメリカ国外に出ているという前提で申請するものですから、更新の回数が重なると、出国が本当に一時的かどうか、一体アメリカに永住する意思があるのか、と疑われることになります。

 

つまり、二度目以降の更新・再申請については承認される保証はありません。

 

 

 

 

 

Q 再入国許可証が却下されたら、永住権に影響しますか?

 

 

A 再入国許可証と永住権は別個のものですので、永住権を失うわけではありませんが、アメリカから長期間出国したままにならないよう注意してください。

 

この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものであり、個々のケースに対する法律のアドバイスではありません。

  (2015年5月16日号掲載)

     

 

 

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日本から行う永住権手続き (2015.3.16)

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日本から行う永住権手続き

       
 

Q 学生ビザで留学していましたが、このたびアメリカ人男性と結婚したので、永住権の申請をしようと思います。

でも、父の具合が悪いので、一度日本に帰って、少し落ち着いてからアメリカへ戻るつもりです。

その期間を永住権の手続きにも充てたいと思っています。日本で申請する方法を教えてください。

 

A 既に結婚して配偶者がいて、日本で手続きを行う場合には2つの方法があります。

① 永住するための書類審査を一通り受け、大使館で「移民ビザ」 をパスポートに発給してもらう。アメリカへ入国する際、空港窓口に規定の書類を提出し、指紋を採られて「移民」 としてアメリカへ入国する。それで手続きは終了。その後、グリーンカードが送られてくる。

② 「配偶者ビザ」 を申請し、アメリカへ入国したら、移民局を通してアジャストメントの手続きを行う。

これに対して、アメリカに既に在住していれば、そのまま国内でアジャストメントオブステータスという形で申請する場合もあり、このケースは初めに書類を全部移民局へ提出し、後は指紋採取、面接となります。

アジャストメントでは手続き中ずっと、そのまま配偶者とアメリカ国内に滞在を続けることになるので、速いと感じられるかもしれません。

さて、移民ビザを取る場合では、大まかに分けて、①移民局へ配偶者が移民請願提出、② 国務省へ手数料の払い込み、③移民ビザのオンライン申請、④経済力に関する書類と関連書類一式送付、⑤健康診断 —— という別々のステップを経て面接となりますので、要領よく書類の準備を進めないと、大変長い時間がかかってしまいます。

とはいえ、ビザの発給により、すべての審査を終える形になりますので、空港の入国審査で「移民用」の窓口へ行くほかはアメリカ国内での手続きはなく、入国したら即ち永住者ということになります。

ちなみに、移民ビザの手続きでは、①の移民請願の審査期間は約5か月、④の書類審査から面接通知が発行されるまでの期間は約60日です。

一方、配偶者ビザを申請する場合は、やはりアメリカ人配偶者が移民局へビザのための請願を出しますが、本人がアメリカへ入国してから永住審査を行うということが前提のビザなので、入国しただけでは永住者にはなりません。

この配偶者ビザ請願の審査期間も移民ビザ請願の審査期間とほぼ同じです。

配偶者ビザを発給してもらった場合は、その後、他の非移民ビザ保持者と同様に入国し、後日、移民局へアジャストメントオブステータスの書類を提出します。

 

 

Q カリフォルニア州内に住む姉がアメリカ市民権を持っていますが、両親をスポンサーしてアメリカへ呼ぶことはできるでしょうか?

 

A「スポンサーしてアメリカへ呼ぶ」 とは、永住権申請のことでしょうか。

この場合も配偶者のケースと同様、アメリカ市民の両親という家族関係に基づいて、日本で移民ビザを各自発給してもらう手続きを行うことができます。

お姉さまはそのままアメリカ在住で、アメリカの移民局へ父親と母親の移民請願を別々に提出します。

その後の手続きは配偶者の場合と同じです。配偶者の場合は結婚年数が2年未満だとテンポラリーのグリーンカード (条件付永住権) となりますが、親子関係の場合は初めから10年更新のグリーンカードとなります。

親子関係の場合は「配偶者ビザ」 のような、入国後にアメリカで永住手続きを行うための渡米ビザはありませんが、既にESTAにてアメリカに入国していて滞在期間が残っていれば、そのままアジャストメントオブステータスを申請する場合もあります。

 

この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものであり、個々のケースに対する法律のアドバイスではありません。

  (2015年3月16日号掲載)

     

 

 

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再申請について (2015.1.16)

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再申請について

       
 

Q 市民権の手続きをしていましたが、“本番” が苦手な性格で、今回も面接で緊張しすぎてうまく回答できず、不合格になってしまいました。

再度申請をすることはできるでしょうか。

 

A 虚偽の申し立てなどの理由で却下された場合を除き、政府に関する口頭質問の部分での誤回答が理由であれば、再度申請することは問題ありませんし、再申請に時間を置く必要もありません。

手数料は同額が再度必要になりますし、二度目ということによる免除事項や優遇はありませんが、面接に一度失敗したことは全くハンデになりません。

極端な話、受かるまで何度でも受け直すことは可能です。

市民権面接というと緊張なさる方もいますが、「英語のテスト」にあたるものは、中学生英語程度のごく簡単な短い一文を書き取るだけです。

また、政府に関する質問については、移民局サイトに練習問題や出題範囲とされる過去問などの情報があります。

議会や政治の仕組みなどについての質問に関しては、答えを暗記してしまえばよいので、あらかじめ内容に目を通しておけば、とくに準備クラスを受講するほどのものでもありません。

 

 

Q 他の手続きに関しても、再申請は可能でしょうか。

 

A 状況にもよりますが、就労ビザあるいは企業スポンサーによる永住権申請のための移民局請願では、出願の条件を満たしていると思われるにもかかわらず、何らかの状況が審査の際に否定的に考慮され、承認を得られなかったという場合、出願内容を多少変えて再度申請するということは、よく行われます。

以前申請が行われたこと、却下されたことはデータとして移民局の記録に残っていますが、却下されたこと自体が直接不利になるということはありません。

控訴や再考慮を求めるという手続きもありますが、法的な解釈の違いではなく、明らかに当局の初歩的な手違いによる却下でない限り、必ずしも一度出た審査結果が覆される保証はなく、再審査の時間もかかってしまいますので、いっそのこと仕切り直しをした方が、別の審査官により新たに審査されますので、効率が良いし、結果が期待できます。

 

 

Q 日本から社員を赴任させたいのですが、ビザ手続きが難航するという噂を聞きますが。

 

A マキラドーラ形態の米国法人へのご赴任の場合、日々の業務が子会社であるメキシコ法人中心になっていることが多く、「米国法人の組織が小さすぎるため、職務がマネージャーのレベルに当たるとは思われない」 などの理由で却下されることがあります。

確かに、アメリカのビザである以上、ビジネスの実体がアメリカにあり、アメリカで職務を行うという申請目的が立証されなければなりません。

一方、日系企業間でのトランスファーで、LビザとEビザの双方の条件が満たされていれば、L-1請願で移民局からの承認が得られない場合、Eビザを直接大使館に申し込むということも可能です。

この場合、L-1請願の却下は 「過去のビザ発給申請却下の有無」というEビザ申請用紙の質問事項では「ない」に当たります。

また、その逆、つまりEビザ却下後にL-1請願というシナリオもあります。

Eビザと違って、大使館はLビザの発給条件の審査は行いません (それが移民局での請願審査にあたる) ので、一度Eビザが却下されていても、虚偽の疑いなどの特別な事情がない限り、移民局がL-1請願を承認すれば、Lビザスタンプの発給を大使館が拒否することはありません。

移民局へのL-1請願、大使館へのEビザ申請のどちらを先に行うかは、個々の状況により判断されます。

 

この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものであり、個々のケースに対する法律のアドバイスではありません。

  (2015年1月16日号掲載)

     

 

 

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