永住権保持者との結婚 (2014.2.16)

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吉原 今日子

yoshihara face米国カリフォルニア州弁護士

USDにて経営学修士(MBA)を取得。
その後、法学博士(JD)を取得。

会社の経営、組織体系、人材の重要性を常に念頭に置いた法的アドバイスを行います。カリフォルニア州弁護士会、米国移民法弁護士会所属。

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永住権保持者との結婚

 

 
       

 

Q 私は6年前に勤務先の会社を通して永住権を取得しました。

 

 

今年、F−1ビザで大学院で勉強をしている日本人女性と結婚することになりました。

 

 

彼女が永住権を取得するためには、どのような条件が必要で、どれくらい時間がかかりますか?

 

 

 

 

 

A 家族を通じての永住権申請では、いくつかのカテゴリーに分かれています。

 

 

アメリカ市民の21歳以下の子ども、配偶者、両親は最優先の位置づけとなり、それ以外は以下のように順位づけられています。

 

 

・第一優先 (First Preference) — アメリカ市民の21歳以上の未婚の子ども。

・第二優先A(Second Preference A) — 永住権保持者の配偶者、または21歳未満の子ども。

・第二優先B  (Second Preference B) — 永住権保持者の21歳以上の未婚の子ども。

・第三優先(Third Preference) — アメリカ市民の既婚の子ども。

・第四優先(Fourth Preference) — アメリカ市民の兄弟姉妹(この場合、市民は21歳以上でなければなりません)。

 

 

 

あなたが奥様に現段階で永住権申請をする場合、第二優先枠Aでの申請になります。

 

 

家族申請をする場合、2つ重要な条件があります。

 

 

第1の条件は、スポンサーになる家族が21歳以上であることです。

 

 

第2の条件は、あなた (スポンサー) に申請者をサポートするだけの経済的基盤 = 収入が十分あることです。

 

 

移民局のガイドラインによると、生活保護が必要になる収入の125%以上の収入が必要です。

 

 

例えば、あなたの場合、家族が2人ですので、年間最低限$19,387.00以上の収入がなければなりません。

 

 

もし、スポンサーに経済能力がない場合は、親、友人などをジョイントスポンサーに付けることも可能です。

 

 

ただし、ジョイントスポンサーはアメリカ市民、または永住権を持っている人に限ります。

 

 

スポンサーになった人は、永住権取得者が生活保護などの援助を受けた場合、その金額分を返済する義務が出てきます。

 

 

この義務は、永住権申請者が①アメリカ市民になる、②永住権を破棄してアメリカを離れる、③死亡するなどの状況になるまで続きます。

移民法の201条によって、年間でどれだけの人数に永住権を与えるという制限が定められているため、移民局に永住権の申請をしてから永住権を取得するまで、優先枠の低いカテゴリーで申請する家族は、一定の期間待たされる場合があります。

 

 

 

あなたの奥さんの申請は、第二優先枠Aに当てはまります。

 

 

第二優先枠には年間114,200の永住権発行数が定められています。

 

 

そのうち77%に当たる約88,000が第二優先Aの方たちに発行され、第一優先 (23,400) で使い切れなかった発行数も第二優先Aに回されます。

 

 

 

第二優先Aで申請する場合、移民局にI-130 という書類を提出してから、優先順位日 (Priority Date) が回ってくるまで第2段階の審査を待たなければなりません。

 

 

第2段階の審査とは永住権の最終的審査です。

 

 

市民との結婚の場合は、第1、第2審査を同時に提出できるので待ち時間はありません。

 

 

2013年7月まで、第二優先Aでの申請には2〜3年ほどかかっていました。

 

 

 

国務省は毎月、永住権数の発行状況を見ながら、この待ち時間の調整をしています。

 

 

 

待ち時間を管理しているのが優先順位日 (Priority Date) になります。

 

 

 

2013年8月には、第二優先Aの Priority Date が Current (待ち時間がない状態) になりました。

 

 

 

それに伴い、第2段階(I-485) の永住権最終審査が I-130 と同時に申請できるようになりました。

 

 

 

現在、第二優先Aの方の Priority Date は2013年9月8日となっています。

 

 

従って、待ち時間は今のところ、単純計算で約4か月となっていますが、ここ数か月間動きがないため、実際どのくらい待ち時間が生じるのかは予測ができない状態です。

 

 

 

翌月の Priority Date は、毎月 Department of State (国務省) によって発表され、インターネット上で調べることができます(http://travel.state.gov/visa/frvi/bulletin/bulletin_4454.html)。

 

 

永住権の発行数の問題もあり、これから Priority Date に達するには時間がかかることが予測されます。

 

 

 

もし、あなたがアメリカ市民になる条件を満たしている場合、市民権申請をして市民になった後で奥様の永住権申請をすれば、奥様は今から約1年くらいで永住権を取得することができます。

 

 

 

永住権取得から5年以上経過し、アメリカに合計半分以上の期間滞在しており、過去5年間のうち180日以上連続してアメリカ国外に滞在したことがない場合、アメリカの市民権を申請することができます。

 

 

市民権申請には約4か月ほどかかります。

 

 

あなたが市民になれば、奥様の永住権申請は最優先に当てはまります。

 

 

ですから、奥様は申請から通常半年以内には永住権を取ることが可能です。

 

 

Priority Date が今後進めば、永住権保持者との結婚を通じた申請の方が待ち時間は短くなるかもしれませんが、Priority Date に左右されず1年以内に永住権を取得したい場合は、スポンサーが市民になってからの永住権申請をお薦めします。

 

 

この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものです。各ケースのアドバイスは必ず弁護士及び専門機関にご相談下さい。

(2013年12月16日号掲載)

     

 

 

 

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