Thursday, 28 March 2024

B-1ビザの取得について (2013.10.16)

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吉原 今日子

yoshihara face米国カリフォルニア州弁護士

USDにて経営学修士(MBA)を取得。
その後、法学博士(JD)を取得。

会社の経営、組織体系、人材の重要性を常に念頭に置いた法的アドバイスを行います。カリフォルニア州弁護士会、米国移民法弁護士会所属。

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B-1ビザの取得について
       

Q 日本でアパレルの卸販売を行っています。

そのため、月に1回のペースで、買い付け、および商談のために、観光の名目でアメリカを訪問しています。

しかし、先月の訪問の際の入国審査では、長時間待たされ、事細かく質問を受けました。

幸い入国できたものの、今後このような経験をしたくありません。

何か良い方法はありませんか?
 

 

A ビザを持たない状態 (ビザウェイバー・プログラムを利用) でのアメリカ入国は、基本的に観光目的のほか、アメリカ国内にて給与を得ないことを条件として、短期の商用にも利用することができます。
 

しかし、アメリカ国内で雇用されておらず、給与を得ていない場合であっても、アメリカを頻繁に訪問する場合、 ビザウェイバーでの入国は適していません。

また、一度入国審査の際に止められてしまうと、次回の入国からは、何らかのビザを取得してくるか、 半年以上期間を空けて訪問するよう警告され、コンピューターに記録されます。

次回にこれを無視して入国しようとした場合、アメリカのどこの空港から入国しようとしても、前回の入国時のデータが出てきますので、任意送還される可能性が高くなります。
 

従って、あなたの場合は 「B-1ビザ」 の取得をお勧めします。
 

B-1ビザは、日本のアメリカ大使館、 または領事館にて、書式「DS-160」を使って直接申請することができます。

L-1ビザ、あるいはH-1Bビザのように、日本のアメリカ大使館・領事館への申請前に、アメリカの移民局から認可を得る必要はありません。
 

B-1ビザでは、アメリカ国内において雇用関係に基づく就労に従事することは禁じられていますが、商談、あるいは契約の締結、商品の買い付け、市場調査、コンファレンスへの参加、訴訟手続き等は行うことができます。
 

B-1ビザ取得の条件としては、以下が挙げられます。
 

  1. 申請者はアメリカ国内で一定の限られた期間のみ滞在すること
  2. 滞在期間終了後、アメリカを離れる 意志があること
  3. 滞在期間中、母国での居住地を維持し、それを放棄する意志がないこと
  4. アメリカへの旅費、滞在費、および母国への帰国のための費用が十分に準備されていること
  5. アメリカ国内では、該当事業に合理的に関連した活動のみを行うこと

 

これらの内容は、会社からの手紙で説明するのが一般的です。

ただし、申請者の会社が小規模の場合は、大企業に比べて、上記の内容よりも詳細な説明が必要になります。
 

また、アメリカの取引先会社から 「Invitation Letter」 という形で、取引している内容を明記した手紙を書いてもらい、面接の際に提出するのも有効な手段と言えます。
 

B-1ビザの有効期間は一般的には5年間、あるいは10 年間 (例外あり) です。

また、ビザウェイバーでは1回の入国につき最長90日までしか滞在資格が与えられないのに対し、B-1ビザでは入国審査官の判断で最長6か月までの滞在資格が与えられることも多いです。
 

しかし、B-1ビザはアメリカでの長期滞在には適しておらず、合計で少なくとも1年の半分以上はアメリカ国外に滞在する必要があります。

あまりアメリカ国内での滞在が長いと、入国の際に前記と同じように警告を受けたり、任意送還される危険性があります。
 

アメリカでの滞在日数の合計が1年の半分以上になる場合には、Lビザ、あるいはEビザ申請を検討した方が安全であると言えます。
 

また、ビザウェイバーはアメリカ滞在中に期間の延長やステータスの変更ができないのに対し、B-1ビザの場合はアメリカ国内滞在中にそれらが可能となります。
 

例えば、アメリカでのビジネスが拡大し、アメリカに支社を持ち、相当額の売り上げが発生し、収入を得る必要が出てきたような場合です。

アメリカ国内でB-1ビザからLビザ、あるいはEビザ等、他のステータスに変更申請を行うことが可能です。
 

B-1ビザの申請には、具体的かつ詳細なアメリカでの滞在計画が必要です。

また ② の滞在期間終了後、アメリカを離れる意志があること(アメリカに永住の意志がないこと)の説明に関しては、日本に家族がいるというだけでは説得力を欠きます。

例えば、日本と経済的に強い関連があること (例:日本に会社がある) を説明した方が好ましいでしょう。

 

この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものです。各ケースのアドバイスは必ず弁護士及び専門機関にご相談下さい。

(2013年10月16日号掲載)

     

 

 

 

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