金 一東
日本クリニック・サンディエゴ院長 |
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新型コロナ感染症の治療法=上= (Treatments for COVID-19) |
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アメリカでは、昨年12月から医療関係者を中心に新型コロナ感染症のワクチン接種が始まり、1日の新規感染者数が20〜25万人だったのが、7万人台 (2021年4月18日現在) にまで下がってきましたが、ワクチンを終了している人は、25.4%で (65歳に限ると66%)、感染の広がりが劇的に下がるであろう集団免疫を達成するのはまだ先です。 ワクチンと平行して、新型コロナ感染症の治療もいろいろな臨床試験が行われ、データが蓄積されてきていますが、ワクチンのように劇的に状況を改善するような治療法は現れてはいません。 その中で、NIH (米国立衛生研究所) を中心にした新型コロナ感染症治療指針委員会 (以下委員会) が出している治療指針は、臨床研究の結果を基に絶えずアップデートされています。
新型コロナ感染症の感染段階
新型コロナ感染症は、その臨床的な経過で2つの局面に分かれます。 初期は、新型コロナウイルスの増殖期でウイルスがヒトの細胞内に侵入しウイルスが増殖していきます。 後期は、ウイルスに対する過剰な免疫・炎症反応が起こり組織が破壊されていきます。 感染のごく初期で、ヒトの体が新型コロナウイルスに対して効果的な免疫反応を生じる前では、抗体による治療が最も効果があるようです。 後期は、ヒトの体がウイルスに過剰な反応をして、サイトカインが増えすぎて、サイトカイン放出症候群やサイトカイン・ストームを起こして体に害を与えるのではないかと考えられています。
委員会は、症状の重症度に応じた治療法を提唱しています。
新型コロナ感染者の重症度の定義
新型コロナ感染者の重症度は次の定義により分類されます。
*次回は、個別に治療薬を紹介いたします。 |
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(2021年5月1日号掲載) |