米国行き国際線の検査強化、105か国、2,000便に影響

米国行き国際線の検査強化、105か国、2,000便に影響

日本の8空港も対象、搭乗遅れ懸念、人員確保と費用負担が課題に

2017年6月29日

ケリー国土安全保障長官は6月28日、テロ対策のため、米国行きの全ての国際線を対象に搭乗前検査を強化する方針を表明した。

国土安全保障省によると、計105か国にある計約280空港が対象。

検査により時間がかかり、1日当たり約2,000便、搭乗客約325,000人に影響する。

日本の航空各社は29日、トランプ政権が米直行便で搭乗前検査を強化する方針を示したのを受け、検査態勢の拡充などの検討に着手した。

検査強化が搭乗の遅れを招き、旅行者に影響を及ぼす懸念がある。

検査強化の対象には規模の小さな地方空港もあり、新たな人員や機器の確保に加えて、費用負担が課題となりそうだ。

米直行便を運航する日本航空と全日本空輸の2社は、米側から検査強化の通達があったと明らかにした。

両社は「内容を確認している段階で、対応を検討していく」とし、人員や機器の拡充が必要かどうかを精査する。

米直行便を抱える空港会社も対応の検討に入った。

新たな検査は米直行便に乗り込む直前のゲートや、米直行便以外の乗客も通る保安検査場で行うことが想定される。

ただ、米直行便が多い成田国際空港会社は「保安検査場で特定の乗客だけを分けてチェックするのは難しい」とみており、ゲートでの態勢整備が求められそうだ。

米国土安全保障省の報道担当者は、日本国内の8空港が検査強化の対象に含まれると説明していたが、日本の航空行政を所管する国土交通省は新千歳、仙台、羽田、成田、中部、関西、福岡の7空港から米直行便があるとしている。

国交省の担当者は「追加検査などの手続きが増え、搭乗までにより時間がかかる可能性がある」と利用者への影響を懸念する。

米側から同省への連絡はなく、航空各社の動向を含め情報収集を続けるという。

航空分野に詳しい慶応大の加藤一誠教授 (交通経済学) は、検査機器などの拡充が必要になった場合に「費用を負担するのは空港会社、国、航空会社のいずれなのかということが焦点になる」と指摘した。

米国は、テロ対策として搭乗前に機内持ち込みのパソコンに爆発物が埋め込まれていないか探知できる精密な検査を航空各社に要求。

米政府高官は、取り組みが不十分であれば「パソコンの機内持ち込み禁止を求めることになる」と警告した。

首都大学東京の戸崎肇特任教授 (交通政策) は、パソコンなどが持ち込み禁止になった場合でも「今度はスマートフォンが狙われる。

結局はいたちごっこだ」とし、完全なテロ対策にはならないとの見方を示した。


(2017年7月16日号掲載)