米国抜きTPP、大筋合意、自由貿易圏が漂流から復活

米国抜きTPP、大筋合意、自由貿易圏が漂流から復活

経済規模は構想から1/3に縮小、結束のほころびも表面化

2017年11月18日

日本やオーストラリアなど環太平洋連携協定 (TPP) 参加11か国の閣僚が米国抜きの新協定の内容に大筋合意した。

先進的な自由貿易圏を創設する約束は米離脱で漂流しながらも、広がる保護主義への危機感をバネに、20項目の効力を凍結する手直しで「復活」した。

だが、経済規模は当初構想から3分の1に縮小。

カナダが首脳レベルでの合意を拒んだことで結束のほころびも表面化し、署名や発効への道は平坦 (たん) ではない。

合意内容はベトナムで11月9、10日に開いた閣僚会合で確認された。

凍結項目は付属書を含む全項目数の2%。

映画などの著作権の保護期間を「作者の死後70年」 にそろえる規定をはじめ、米国の求めで盛り込まれていた知的財産・投資のルールが中心だ。

労働や医療など、一部の国が国内規制を変えるのに慎重だった分野も目立つ。

米復帰時には凍結を解除する。

一方、ビジネスや人の往来を促す多くの規定や、関税撤廃・削減による高い水準の貿易自由化は維持された。

農林水産物を含む日本の関税撤廃品目の割合は約95%。

加盟国全体に設ける乳製品などの低関税輸入枠や、牛・豚肉の緊急輸入制限 (セーフガード) の発動ラインとなる輸入量は米参加を前提に大きく見積もっていたため、発効後に見直しを要請できる条文が入った。

政府は農業の体質強化を支援する。

12か国のTPPはトランプ政権に移行した米国が抜け、発効できなくなった。

日本にはTPPの崩壊を避け、2国間協定締結を望む米国の要求をかわす思惑があり、交渉を主導した茂木敏充経済再生担当相は閣僚合意後に「成長著しい地域で自由、公正なルールが確立できた」と強調した。

ところが、最終盤でカナダの閣僚が「大筋合意していない」とツイッターで異議を唱え、トルドー首相が姿を現さないまま10日の首脳会合は異例の中止に。

協調アピールを狙った安倍首相の思惑は挫 (くじ) かれた。

独自の文化政策を認める例外措置を求めたカナダの曖昧な主張に関し、北米自由貿易協定 (NAFTA) 再交渉で米国からTPP以上の譲歩を求められると懸念して、成立を急ぎたくないのが本音だと日本の交渉筋はみる。

日本は来年の早い時期に署名し、2019~20年にも発効させ米復帰の誘い水としたいのに対し、トランプ大統領は「米国が束縛される多国間協定には参加しない」と冷淡だ。

11か国の国内総生産 (GDP) は世界の13%程度。

新規加入に関心を持つ国もある半面、GDPで日本に次ぐカナダが仮に抜ければ、さらに小粒な協定となり、残る国の歩調も乱れかねない。


(2017年12月1日号掲載)