Thursday, 28 March 2024

クロマグロ規制案、米国反対で日本提案の合意見送り

クロマグロ規制案、米国反対で日本提案の合意見送り

枯渇回避へ漁獲制限の修正迫られた日本、来年も議論

2016年9月2日


北太平洋のクロマグロ (写真右) の資源管理を話し合う中西部太平洋まぐろ類委員会 (WCPFC) の小委員会は9月2日、日本が提案した緊急の漁獲規制について、米国などから 「緩い」 と反対され合意を見送った。

日本は韓国で来年開催される小委員会での合意を目指し、規制強化の方向で提案内容を修正する検討に入った。

WCPFCは既に漁獲規制を実施しており、緊急時の新たな対応に関する今回の合意見送りはマグロの価格に影響しないとみられる。

ただ、各国の意見がまとまらない状況が続けば、資源枯渇を避ける取り組みが遅れかねない。

水産庁の太田慎吾資源管理部審議官は終了後の記者会見で「賛同が得られず残念。米国などと意思疎通して解決方法を考えたい」と述べた。

小委員会は8月29日から福岡市で始まった。

日本は生後1年未満のクロマグロの量が3年続けて低水準だった場合、緊急の漁獲規制を2年間実施することを事前に提案。

会合が始まってからは、具体的な規制内容として、現行規制の漁獲量からさらに半減する案も示した。

しかし、米国が「半減措置は緩く、発動するまでの期間も長い」などと反発した。

米国は環境団体の意向などを受けて資源保護重視の姿勢を示すが、中西部太平洋で漁獲しておらず、規制を強化しても自国の漁業者への影響が小さい。

逆に台湾は「半減は厳しすぎる」と拒んだ。

太田審議官は「参加国から対案が出されず、議論が進まなかった」と述べた。

一方、米国は2030年までに親魚の資源量を約13万トンに回復させる長期目標の案を提示していたが、日本が「目標が高すぎる」として難色を示し、まとまらなかった。

段階的に目標を設定する方向では一致し、来年の小委員会で決めることにした。

目標について科学的に検討し、その結果を議論する新たな会合を来年春に日本で開催する。


(2016年9月16日号掲載)