Tuesday, 16 April 2024

クリントン氏「国民の結束は力」、初の女性大統領候補

クリントン氏「国民の結束は力」、初の女性大統領候補

民主党の指名受諾、排斥的なトランプ氏を批判、選択迫る

2016年7月29日


民主党の大統領候補に指名されたヒラリー・クリントン前国務長官 (68) は7月28日夜、フィラデルフィアで開催中の党大会で指名受諾演説を行った。

米国初の女性大統領への決意を表明。

「結束は力だ」と呼び掛け、国民に団結の必要性を訴える。

演説では、共和党候補の実業家ドナルド・トランプ氏 (70) の排斥主義的な主張を念頭に「強大な力が米国を引き裂こうとしている」と指摘。

経済格差の是正や人種間融和に向けて共に立ち上がるよう訴え、有権者に分裂か結束かの選択を迫る。

指名受諾により、4日間の党大会は閉幕した。

クリントン氏は「賃金の上昇を伴う良質な雇用の拡大」 が大統領の使命だとして、最低賃金引き上げを確約し、中間層の底上げに取り組む考えを強調。

グローバル化についていけず、経済が衰退した地方や荒廃する都市中心部など「取り残された場所」にも機会を創出する考えを示した。

さらに、前向きな変化は「一歩一歩」実現するものだと説いた。

世界各地で過激派組織「イスラム国」 (IS) などによるテロが相次ぎ、米社会にも不安が広がっていることを背景に「打ち勝たねばならない敵がいる」としてテロ組織の壊滅を誓う。

指名を争ったバーニー・サンダース上院議員を支持するリベラル派や若年層を取り込み、オバマ政権に続く民主党政権維持に向けて挙党態勢を構築できるかが注目される。

クリントン氏は医療保険制度改革 (オバマケア) など現政権の重要政策を継承する構えだが、環太平洋連携協定 (TPP) には反対している。

民主、共和両党の党大会が終わり、11月の本選に向け選挙戦が本格的に始まることになる。

クリントン氏が「希望」を訴えた演説は好意的な評価を受け、直後に発表された世論調査では、有権者の 「不安」 や 「恐怖」 に働き掛ける共和党候補トランプ氏を5ポイントリード。

選挙戦は「希望 vs.恐怖の戦い」 (米メディア) となりそうだ。

ワシントン・ポスト紙は「クリントン氏の課題は、ゆっくりとした前進が、トランプ氏が提示する無鉄砲な指導者像より魅力的だと有権者に納得させることだ」 と論評した。

ニューヨーク・タイムズ紙は「警官銃撃やテロ。

我々の生活は脅威にさらされている」 と強調したトランプ氏の演説について、「一緒に強くなろう」 と前向きなメッセージを込めたクリントン氏よりも「暗さ」 が目立ったと報じた。

民主党大会中にロイター通信が実施し、7月29日に公表した世論調査では、クリントン氏の支持率は40%、トランプ氏は35%だった。

だが、「好感を持っていない」 との回答は2人とも57%で張り合っている。


(2016年8月16日号掲載)