売れない若手俳優が自作自演の脚本執筆に一念発起。マッドネスを極限まで表現する意欲に駆られ、選んだテーマが「神風特攻隊」。リサーチを進めるうちに「狂気の沙汰の玉砕集団」「戦時中の暴走族」という先入観は打ち砕かれ、「命に代えて親を守る」という切ない隊員の真情を知り、衝撃を受ける。人生の転機だった。特攻隊員の心を綴った舞台劇『The Winds of God〜零のかなたへ〜』の沖縄最終公演。その2日後に9.11テロが勃発。有名米紙が世界貿易センターに突入する旅客機を“Kamikaze Attack!”と報道した。「特攻とテロは違う」。突き上げるものを感じて舞台を再開し、米国でも上演。その劇が全編英語版で映画化され、今秋サンディエゴで公開される。監督・主演・原作・脚本を務めた男の名は今井雅之。「神風」への熱い思いに至った足跡をたどる。
—— 舞台、TVドラマに続いて“The Winds of God”は1995年に映画化されています。二度目の映画化に踏み切った理由、米国上映を決意するまでの経緯は。
“The Winds of God”の舞台劇は2001年9月9日の沖縄公演を最後にする予定でした。もう13年も続けていて、僕も飯を食えるようになっていたし、当時は特攻隊と言うと、どこか色眼鏡で見られてもいましたから。ところが、その2日後に「9.11」が起きた。それ以上にショックだったのが、有名米紙が「Kamikaze Attack!」と報道したこと。民間人を巻き込んで、ビルに突っ込んだテロを「特攻神風」という言葉で同一視されていることの悔しさ。生き残った元特攻隊員の取材を重ねた僕は確信を持って言える。特攻とテロは違う。アメリカの人たちにその思いを伝えるために再び映画制作に着手しました。
( The Winds of God – Kamikaze –のあらすじ)
21世紀のニューヨーク。真夏の8月1日。うだつが上がらないコメディアンの2人=ドイツ系白人のマイクと日本人/アメリカ人の混血キンタ=はコメディのライブハウスをクビになり、交通事故に遭ってしまう。意識を取り戻すと、2人は太平洋戦争終結直前の1945年8月1日にタイムスリップし、何と日本海軍の神風特攻隊員という前世の姿に戻っていた。驚く2人の前に突きつけられた「死」の現実。戸惑う彼らにも零戦に乗る日がやって来た…。