私はあまりモノに対する執着心がなく、モノに纏 (まつわ) る思い出でセンチメンタルに浸ることもない。昔の男がくれたジュエリーや洋服は気に入ったものなら別れた後も利用するし、実は我慢して喜んだふりをしたプレゼントだったらゴミ箱行きになる。この間、高校時代から5年ほど付き合ったボーイフレンドの印鑑を発見して、びっくりした。「印鑑」というのが何ともドメスティックな感じだけど、私たちは駆け落ち同然で同棲していたのだから仕方ない。しかし、今となってはその名字を見ても何の感慨も湧かず、当然と言えば当然だけど、人の心の移り変わりというのは不思議なものだと思った。そんな私がこれだけは捨てられないというのは「夫」である。数々の苦い恋愛体験を経て、 ようやく見つけた宝物である。思いっきり大切に扱いたいと思う。 (JG)
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