frontcover20100901



nagano_top_new.jpg
 
nagano_face.jpg   永野 文久

米国公認会計士

昭和17 年生まれ。  昭和41 年東京大学卒。同年三和銀行入社。
昭和58 年米国公認会計士。

ご質問、ご連絡はこちらまで
 
koramu_560_new.jpg
 
日本帰国時の個人税務上のポイント
 

個人の税金申告のシーズンです。

日系企業に勤務する駐在員あるいは永住者が、その米国滞在を終えて帰国を予定する場合、ビザの種類、米国での滞在日数により、別途税務上の手続きが必要となることを説明する機会が多くなっています。

今回は、帰国時に必要となる連邦税法上の注意点についてまとめてみました。

 

 

Sailing/Departure Permit
 

H1-Bビザ、Lビザ、Eビザ等で米国に滞在し、米国税法上居住者として扱われている個人が米国滞在を終了する場合、帰国日の2週間前までに Form1040-C を IRS へ提出し、"Certificate of Compliance" いわゆる Sailing/Departure Permit を受け取る必要があります。

実際の手続きとしては、出国30日前から2週間前までの間に、必要書類を揃えて Local IRS Office へ出向き、実際に予想される所得に基づく納税が行われているか確認を行い、必要であれば納税を行うことになります。

また、課税所得がなく一定の条件を満たす場合は、Form 1040-C の代わりに Form 2063 (Short Form) の提出が可能となります。

ただし、この手続きを行ったとしても、暦年の納税者の場合、翌年の4月15日 (場合によっては6月15日) までに確定申告を行う必要があります。

 

 

帰国年の申告方法

米国市民権または永住権保持者が米国滞在を終了する場合、市民権や永住権を放棄しない限り、米国税法上居住者として扱われるため、確定申告においては全世界所得を申告することになります。

市民権や永住権を放棄した際の税務上のルールは、別途特別なルールが存在するのでここでは割愛しますが、必要であれば IRS Publication 519 などを参照して下さい。

米国市民権、永住権保持者以外で、米国滞在日数によって米国居住者に該当している個人 (多くのH1-Bビザ、Lビザ、Eビザ滞在者) が米国滞在を終了した場合、米国滞在の最後の日をもって居住者扱いを終了する申告方法 (Duel Status) での申告が必要となります。

申告 Form としては、一般に Form1040 と Form1040NR の両方を使うことが多く、帰国日をもって米国居住期間が終了したことを報告するためのステートメントを別途添付する必要があります。

そのステートメントには、帰国日、パスポート、ビザの情報に加え、税務上の居住地 (Tax Home) が帰国日以降米国外であることを示す情報 (勤務地、居住地、家族の居住地等) を記す必要があります。

Dual Statusでの申告では、Standard Deductionが選べない、Joint Return及び Head of Householdが利用できないなどの制限が加わります。

 

 

米国に残しておく銀行預金口座について
 

米国内の銀行預金口座から利息収入がある場合、米国税法上居住者の場合は課税所得となりますが、非居住者の場合、非課税扱いを受けることができます (非米国事業 関連所得の場合)。

そのため、米国滞在を終了した後に、銀行預金の利息収入から源泉徴収されることを避けるため、各金融機関に Form W-8BEN を提出しておく必要があります。
 

もし、Form W-8BEN が未提出であり、本来非課税の扱いを受けるべき利息収入から源泉徴収がされてしまった場合には、確定申告を行い、還付の請求をする必要が生じます。
 

 

 

W-2、1099 関連書類の住所変更

帰国後、確定申告に必要な書類が確実に手元に届くように、帰国前には手配しておく必要があります。

 

 

配偶者、扶養者が納税者番号(Social Security Number or ITIN) を持っていない場合

配偶者、扶養者に納税者番号がない場合、配偶者、扶養者控除を利用するためには、ITIN (Individual Taxpayer Identification Number) を申請する必要があります。

その申請には公証人によって認証されたパスポートのコピーが必要となります。

日本国内では米国大使館または米国領事館などで対応していますが、米国滞在中に用意しておく方が簡単であるためお勧めです。
 

帰国時に適用される申告のルールは若干複雑となるため、帰国に対する税務上の手続きをスムーズに行うためにも、一度専門家のアドバイスを受けることが望ましいと言えます。



※注意:このコラムは米国での税務に関する一般論的概説ですので、実際の案件については個別に専門家の意見を求められるようにお願いします。
 
(2010年3月1日号掲載)