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dr_kim_new.png     金 一東

日本クリニック・サンディエゴ院長

日本クリニック医師。
神戸出身。岡山大学医学部卒業。同大学院を経て、横須賀米海軍病院、宇治徳洲会等を通じ日米プライマリケアを経験。その後渡米し、コロンビア大学公衆衛生大学院を経て、エール大学関連病院で、内科・小児科合併研修を終了。スクリップス・クリニックに勤務の後、現職に。内科・小児科両専門医。


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変形性関節症 (Osteoarthritis=OA)
       
一番多い関節炎

変形性関節症はアメリカでも日本でも一番頻度の高い関節炎で、アメリカでは変形性関節症のある人の数は2100万人を超えています。変形性関節症は、年齢 が上がると共にその頻度が高くなっていくので、高齢化と関係があると考えられていますが、高齢化社会時代の真っ只中にある日本やアメリカでは、生活の質の 向上のために、今後さらに重要な疾患になっていくのではないかと思われます。


変形性関節症とは


変形性関節症は古代から知られている関節の疾患で、主に45歳以上の人に関節の痛みや腫れを起こします。65歳以上の人は、X線上変形性関節症の所見のあ る人がほとんどと言われていますが、その内痛みを訴える人は3分の1以下です。55歳以下では男性に多く、55歳以上では逆に女性に多く起こりやすくなり ます。このように、変形性関節症に悩まされている人は非常に多いのですが、原因に関してはまだ完全に解明されておらず、「完治」を期待できる治療法も存在 していません。


変形性関節症の原因


身体的要因と環境要因の組み合わせで起こるのではないかと考えられていますが、加齢以外に原因のはっきりしない一次性のものと、関節への外傷や事故など、他の原因による二次性のものに分けられます。

加齢によるものは、簡単に言えば、英語で“wear and tear”と表現される長年の使用による「消耗、磨耗」が原因と言えますが、同じように使っている肘や肩にはあまり起こらないことを考えると、長年の使用 による消耗だけでは変形性関節症の原因を説明することはできないのです。

変形性関節症の起こる機序は次のように考えられています。関節内の軟骨を構成するプロテオグリカンというものが少なくなると、軟骨に含まれる水分量が少な くなり、弾力性が低下し、衝撃や摩擦に対する抵抗力が低下します。その結果、軟骨が薄くなったり損傷を受け、その下の骨も影響を受けます。関節の骨端表面 に骨棘(こっきょく)という突起状のものができ、これも痛みの原因になります。また、軟骨や骨の一部である小片が関節内を浮遊したりします。こうした関節 内軟骨や骨の変化を契機に関節の炎症が起こります。

二次的な原因としては、関節への外傷(スポーツ外傷や交通事故など)、関節への手術、肥満、使いすぎ、関節リウマチ,ヘモクロマトーシスなどがあります。


変形性関節症の症状

変形性関節症は通常ゆっくり進行し、体重の負荷がかかる関節=股関節、膝、首、腰によく起こります。また、それ以外の関節である手指、親指の付け根、第1足指、首にも影響します。逆に、手指の付け根、肘、肩、足首などにはあまり起こりません。

症状として、関節痛(しばらく使わなかっり、使いすぎた後)、関節の腫れ、関節のこわばり、朝の指のこわばり(通常は30分以内。関節リウマチは通常1時 間以上持続)。関節痛は関節リウマチと逆に午前中に比較的軽く、午後ひどくなる傾向があります。骨と骨が磨り合うような感覚。

また、以下のように、変形性関節症のある関節部位によって起こりうる症状が変わってきます。

  • 股関節―鼠径(そけい)部、お尻、膝、大腿の内外側の痛み。歩行障害。
  • 膝―膝の痛み。階段の上り下りやイスから立ち上がるときの痛み。痛みによる歩行障害、運動困難。大腿の筋肉の弱化。
  • 指―指の関節の腫れ。特に、指の一番先端の関節と指の真ん中の関節の腫れ。(関節リウマチの場合、指の真ん中と指の付け根の関節の腫れ)。物をつかむのが困難。
  • 足―第1足指の付け根の関節痛。ハイヒールが痛みで履けない。
  • 腰と首―椎間板からの骨棘による神経の圧迫=しびれ症状、首と腰の可動性の低下、首、肩、腕、腰、足などの痛みや筋力の低下


変形性関節症の診断
 

変形性関節症の症状があれば、問診・診察の上、関節のX線を撮ります。但し、症状が出現して間もない人は、X線では初期の変形性関節症の変化は分からない ので診断が難しいかもしれません。逆に、高齢者では、大半の人にX線上に変形性関節症の所見が存在するので、変形性関節症以外の病気がある時にそれを診断 するのは困難かもしれません。関節の腫れがあれば関節穿刺(せんし)、しびれなどの神経症状があったり、診断が困難であれば、MRI(核磁気共鳴画像)を 行なうことがあります。


変形性関節症の治療


治療の目標は、痛みのコントロール、日常生活上での活動性の改善、それに病気の進行を抑えるということです。そのために運動は大事な治療法になります。但 し、運動のやり過ぎは変形性関節症の症状にはマイナスになりますので、必ず十分な休憩を取るようにして行います。運動は痛みを和らげるだでけでなく、関節 の柔軟性を促進し、体重のコントロールにもなるのでとても重要です。

痛みがある時、温かいタオルやホットパック、温かいシャワーやお風呂を利用します。但し、冷やした方が良い時もあります。運動をする前は関節を温め、運動後は冷やすのが一般的です。

膝が痛い時は、靴の中にスポンジなどのクッションやインソールなどを入れます。また、膝関節が弱くなると、膝ブレース(装具、補助具)を着用する方法もあります。

痛み止めとしては、アセトアミノフェン(商品名:タイラノール)、イブプロフェン(モトリン、アドビル)や、ナプロキシン(アリーブ)を使います。イブプ ロフェンやナプロキシンは、NSAIDsと呼ばれる抗炎症鎮痛薬で、胃粘膜を荒らす可能性があるので、胃炎、胃潰瘍、上部消化管出血の既往のある人には、 セレコキシブ(Celebrex)、バルデコキシブ(Bextra)といったCox-2に分類される長時間作用の抗炎症鎮痛薬が適応になります。痛みが軽 い人は、経口薬長期使用による副作用を避けるために、IcyHotなどの局所鎮痛クリームを関節表面に塗ります。経口の痛み止めが効果のない場合、ステロ イドの関節内注射、ヒアルロン酸の関節内注入療法などの治療法もあります。

理学療法により関節の周りの筋肉を鍛えます。例えば、大腿四頭筋を鍛えることによって、膝にかかる負担を抑える方法もあります。

グルコサミンやコンドロイチンなどのサプリメントにより症状が緩和されることがあります。但し、これは誰にも効果があるということではありません。代替医療である鍼灸なども効果がみられる時があります。


上記の治療法で症状の改善がない時は、外科的手術の対象になります。関節の表面をきれいにする手術や、関節を固定したり、関節の骨の位置を変えたり、人工 関節を使用するなど。こうした手術の大半が股関節や膝の人工関節の手術です。他に、軟骨細胞の自家移植、細胞工学法による軟骨の再生術も考えられていま す。
 
この記事に関するご質問は日本クリニック(858) 560-8910まで。過去の「アメリカ健康ノート」の記事は、私のウェブサイトwww.usjapanmed.com またはwww.dockim.com で読むことができます。
 
(2007年3月1日号掲載)      



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