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東洋医学修士(MTOM)

全米及びカリフォルニア鍼灸師免許取得。日本における経路治療の第一人者である首藤傳明先生に師事。和漢薬学会員。北米東洋医学会々員。東京教育大(現・筑波大)哲学科卒。現在、カフォルニア州のリッジクレスト(Ridgecrest) で夫婦で鍼灸漢方に従事。

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現代の難病に挑戦しよう ・その2
       

反射性交感神経性異常(RSD)

RSDとは、リフレックス・シンパセテイック・ナーヴ・ジストロフィの訳です。数年前まで「そんな病気はない」という理由で保険会社が支払い拒否をすることがあったほどの新しい病気です。自律神経の異常(発汗や血流の異常)と痛み、特に灼熱痛(焼けるような痛み)が重なった症状があります。ひどい打撲の後、しばらく経って症状が出てくるようです。

 

●ケース1

私が始めてこの症状に出会ったのは学校を出たての頃で、自動車事故に遭った主婦の足の灼熱痛でした。学校で習わなかった症状で、まだウエブサイトも現在のように発達しておらず、一体どんな病状なのか、知る方法がありませんでした。

その主婦は診療所に来るなり「あなたは反射性交感神経性ジストロフィーを知っているか」と、まるで自慢するように聞いてきました。私は「東洋医学は病名で治療する訳ではない。症状で治療する。しかし、交感神経性の異常なら更年期障害と同じようなものだ」と言って、交感神経が絡むなら背骨の治療もしておこう —— と痛みの治療をしました。

2日後に再び来る約束でしたが、次の日に患者から電話があって「痛みは一時的に良くなったが、原因を治療するのでないなら治療は続けられない。更年期障害と同一視されてはたまらない」と、2回目の予約をキャンセルされてしまいました。

このように現代医学は原因治療だが、伝統医学は対症療法だと思い込んでいる方は多いものです。実際に医療の現場を知れば、現代医学こそ対症療法で「ごまかしているに過ぎない」ことが多いものです。RSDでも自律神経の異常な反応を止めるために神経遮断などという恐ろしいことをするのですが、これが対症療法でなくて何だというのでしょうか。患者さんの中には、自分の病気は特別で「治りたくない」という方もいるものです。

 

●ケース2

次のケースは大型スーパー店で掃除婦をしていた主婦で、挽き肉を作る機械を洗っていて足を滑らせて機械の底に落ちたそうで、しばらくして腕に汗をかき、同時に灼熱痛を覚えるようになりました。日本でいう「労災」で、こちらのワークマンズ・コンプのケースでした。

このケースでも私は背骨の治療を中心に行いました。異常な発汗は最初の治療で止まりましたが、灼熱痛はなかなか治まりませんでした。それでも彼女を治療してきたサンディエゴのペイン・クリニックの医師はハリが効くと知って驚いていました。そのうち、保険が前記のような理由で支払い拒否をしたので患者は来なくなりました。

 

●ケース3

中東の前線で民間人として物資輸送をしていた若者が、自動車の正面衝突に遭って首の骨を折って帰ってきました。この若者は後頭部から背中の真ん中まで灼熱痛を覚え、しかも首が全く回らない状態でした。

しかし、治療してきた医師はRSDであるとは診断していません。最初の治療直後には痛みが取れ、首も少し動くようになるので、RSDではないかと医師に問い合わせたのですが、「その可能性はある」というだけで、それ以上は調べる気配もありませんでした。その理由は、RSDなら打撲を受けた部分ではなく手足に出るのが普通で、首を折って首に出ると言う例はないし、自律神経系の異常がないというものです。

灼熱痛は数回の治療で消えました。もちろん、背骨への治療が中心でした。首の動きの回復に治療を移すと、「首が動くようになる可能性はない」という保険会社の意向で治療は打ち切りとなりました。


(2008年3月16日号掲載)    
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