健康を維持するために一番大事なことは免疫機能を正常に保つことです。このコーナーでも度々紹介してきた新潟大学の免疫学の安保徹先生が、免疫機能を正常
に保つ食養生<しょく(いく) ようじょう>について本を出しました。題して『食べる免疫力』(世界文化社)
です。今回は、この本から免疫力を高める食事とはどんな食事なのか紹介しましょう。ちなみに、アメリカでは鍼灸は食生活指導を含みます。
食べる幸せを忘れていませんか
安保先生は「人間は適応力を超えた無理な生き方をしたとき病気なり、適応力を使わずに生きていても病気になる」と言います。昔の人は「人間には陰と陽の気
があって、昼間は陽気が活躍し、夜は陰気が活躍する」と考えましたが、これは現代的に考えると交感神経と副交感神経の働きを指していると言えそうです。交
感神経は外界のストレスに反応する神経で、英語では「ファイト オア フライト(戦うか逃げるか)」の神経だと言われます。
副交感神経は気持ちがゆったりしている時に働く神経で、食べたり、お風呂に入ってのんびりしたり、いわば「カウチポテト」の神経です。こうして人間の生活は、交感神経か副交感神経のどちらかが支配する状態が循環して成り立っています。
分かりやすい例はセックスですが、気持ちよい愛撫の間は副交感神経が優位ですが、クライマックスが近づくと交感神経が優位になります。そして、その後の充足感、満足感は再び副交感神経が優位になる証しです。
ところで「無理な生き方」は交感神経が緊張するストレス一杯の生き方、「楽な生き方」は副交感神経優位でメリハリのない生き方です。
食後に満足感がありますか
お勤めする女性に「ストレス食い」をする方がいて「肥満」の原因になっているようですが、食べることは副交感神経を優位にするので、確かにストレスを和ら
げてくれます。でも、胃に何かを詰め込むような食べ方、食べながらも仕事が気になっているような食べ方は、せっかく優位になりかけた副交感神経が「満足
感」を生み出す前に交感神経に取って替わられてしまいます。ひどい時には、食後にキリキリ胃が痛むなどということになりかねません。これは交感神経過剰支
配状態の危険信号です。
食べる時はフランス人やイタリア人にならって、気の置けない仲間とおしゃべりしたり、素材をよく味わって食べること自体を楽しめば、交感神経が静まって、
食べた満足感が得られ、食べ過ぎると眠くなりますが、食後に新たな活力が生まれます。特に、ストレスが一杯の現代社会では、ストレスを緩和できる数少ない
チャンスが食事なのですから、もう少し大事に食事をしたいものです。
猛烈社員が若死にする理由
安保先生は、交感神経は白血球の中の顆粒球を支配しており、副交感神経はリンパ球を支配していることを世界に先駆けて見つけました。世の中にはストレスが
生き甲斐で、ストレスに体当たりしているような神風猛烈社員がいますが、こういう方は四六時中交感神経が優位の「適応力を超えた無理な生き方」をされてい
る訳ですから、交感神経が支配している顆粒球が異常に増えてしかも戦闘態勢で、やがて自分の体の弱い部分を攻撃し始めます。安保先生に言わせると、それが
胃潰瘍や潰瘍性大腸炎などの原因なのです。もちろん、社会のストレスに適応できない心の優しい方も、同じように顆粒球の攻撃を受けることになります。
普通の状態でも、人間の体は日に何千個ものガン細胞を作っているそうです。それでも発ガンしないのはリンパ球がガン細胞を食べてくれるからです。ところ
が、交感神経優位の状態ではリンパ球が抑えられていますから、ガン細胞が生き延びてしまいます。胃潰瘍が胃ガンに変わるのは時間の問題です。
いやいや食品
交感神経と副交感神経の働く割合のバランスが良ければ免疫機能も正常に働いて、健康な生活が送れます。私の“素人考え”では人間8
時間交感神経優位、16 時間副交感神経優位なら病気の心配はないだろうと思います。副交感神経優位が16 時間なのは、睡眠8
時間を含むからです。でも、24
時間副交感神経優位ではリンパ球が悪さを始めます。リンパ球が身を持て余して攻撃するのは関節や皮膚です。安保先生は関節リューマチ(アースライテス)や
アトピーはリンパ球が原因だと言います。ところで、食べること自体は副交感神経優位の状態ですが、安保先生は「肉、卵、牛乳などの動物性食品に偏った食生
活では、消化管が働く時間が短くて済むため、必然的に交感神経優位の体調になります。これではストレスから脱却できません。この本でも紹介している玄米、
野菜、キノコ、海藻のような植物性繊維の豊富な食べ物は、消化管を刺激する時間が長いのでストレス解消の力になります」と言います。
そして、安保流免疫レシピの特徴は「いやいや食品」といって、体が欲しがらない食品を加えることにあります。どのようなものが「いやいや食品」かという
と、梅干しなどの酸味、苦瓜などの苦味、生姜(しょうが)
などの辛味を持つ、体が欲しがらない体にとって不快な食品で、こうした「いやいや食品」が入ってくると体はすぐ排泄しようとするので、副交感神経が活発に
なるのだそうです。
安保先生のお弁当を覗く
そこで、先生は一体どんなものを食べていらっしゃるのかー。先生のお弁当が写真に出ています。2 段重ねのお弁当箱で、下が黒ゴマを振りかけた玄米、真ん中に梅干しがあります。上はイカ、椎茸、野菜と細切り昆布の煮付けでしょうか、それとお漬物に、フルーツのようです。
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