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suzuki     鈴木 博美

ドッグトレーナー

2匹のゴールデンレトリバーとの出会いをきっかけに犬の世界に興味を持つ。楽しく、且つ効果のあるトレーニング方法を求めて渡米。ケープ・エイブル・ケーナ イン(Cape-Able-Canine) のドッグトレーナー研修プログラムを終了後、同センターで犬のデイケア(幼稚園)&ホテル(宿泊)を担当。現在、ケーナイン・トゥ・ファイブ (Canineto Five) を立ち上げ、日本語によるドッグトレーニングクラスも開講している。幼稚園教諭の経験もある。

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犬はなぜ吠える?
       
犬の先祖は狼であるという説が一般的です。犬の行動理解を深めるために、去年、インディアナ州にあるウルフパークに行ってきました。狼たちは見事なボディ ランゲージでコミュニケーションを行い、ほとんど吠えていませんでした。声を発する時は唸( うな) る、遠吠え、痛み( 特に、子犬が発するキャイーンなど)によるものでした。 

では、どうして犬はこんなにも吠えるのでしょうか。遠い昔、私たちの先祖が「イヌ」を共同生活に迎え入れた時に「吠える」行動を好み、強化させながら交配 を重ねてきたことが考えられます。人間もまた、野生動物の標的であったはずです。夜の闇は神経を尖らさずにはいられなかったことでしょう。しかし、人間よ りも聴覚や嗅覚に優れたイヌたちは、「吠える」ことにより外敵の接近をいち早く知らせ、ハンティングでは「吠える」ことで敵を追い詰めたり、現在位地を知 らせたりしました。

犬にとって吠えることは、全く当たり前のことなのです。とはいえ、時代は変わり、現代の一般家庭において( 特に都市部) は「吠える」ことは大きな問題行動の一つであることも事実です。問題行動を修正していく上で大切なことは「犬がなぜ、その行動を行っているのか」を考えま す。敷地を守っている、威嚇( かく)、恐怖、退屈、痛み、要求など、それぞれの行動で、その対応方法も異なってきます。



間違ったしつけ方

力を行使して、吠えることをやめさせようとしないで下さい。マズル( 鼻口部) を抑える方法をよく聞きますが、これは危険が伴います。第1 に、鼻から目にかけての部分はとても繊細ですので、力任せに握るとケガをさせてしまう可能性があります。第2 に、恐怖心によって従順させることは犬との信頼関係を壊してしまうことになりかねませんので、お勧めできません。痛い思いをさせる人に尊敬の念が抱くとは 思えません。第3 に、犬が吠えている場合、大抵は興奮状態にあります。興奮度が高まり、コントロールが効かなくなると「displacement ( 置き換え現象)」が現れ、すぐ近くにいる犬や人に対して攻撃をしてしまうことがあるのです。道を歩いていて、フェンス越しに吠えてきた犬がフェンス内で突 然ケンカを始める光景を見たことはありませんか。飼い主であっても例外ではないのです。マズルを抑えようとして、逆に咬まれるということもあるのです。 

また、触ることは褒( ほ) めることであるということも覚えておいて下さい。犬が吠えている時になだめようとして「大丈夫、静かに、ね…いい子だから」「コラ、静かに座んなさい」と言って背中を触ると、犬としては「よくやった」と励ましてもらっていると思います。


正しいしつけ方 

吠えることが全て悪いわけではありません。敷地内に不審者がいることを知らせるために吠えているのならば、むしろ褒めてあげたいものです。吠える行動をコ ントロールすることができれば、どんなに心強いことでしょう。先ず、号令によって「吠える」ことを教えます。犬が吠えた時に「吠えろ」とか「スピーク」と 名前を付けてご褒美をあげます。1 週間ほど続けて、一度犬に「吠えろ」と言ってみて下さい。そこで犬が吠えたら「いい子だ」とご褒美をあげます。それから「静かに」を教えます。吠えること を号令によって覚えたならば、静かにすることも号令によって覚えられるはずです。

問題となっている吠えている状況を、大きな音やスプレーの水で中断させ、静かになった瞬間に「静かに」「いい子だ」とご褒美を与えます。タイミングが大切 です。大きな音や水は罰ではなく、行動を中断させてこちらに注意を向けさせるための道具として使います。 散歩中に他の犬や人に向かって吠える場合は、ほ とんどが恐怖心から来ています。本来、リーシュ( 革ひも) は人間が安全と法律のために使用しているものです。動物には安心できる相手との距離、逃走距離というものがありますが、この距離は犬によって異なります。

相手との距離を10 メートル必要と思っている犬がいたとします。しかし、リーシュの長さは3 メートルしかありません。「ちょっと怖いなぁ」と思っていると突然、前から来た犬が物凄い勢いで吠えました。びっくりした犬は「怖かったなぁ、でも、ああ すれば皆も自分を怖いと思って誰も近づかないだろう」と判断し、会う犬、会う犬に繰り返し吠えては自信を付けていきます。この状況ではオーナーだけでは対 応できませんので、専門のトレーニングコースを受けた方がいいでしょう。( だからといって、伸び縮みするリーシュは別の理由でお勧めできません) 犬がオーナーの声に注意を払っていることは確かです。良い行動を褒めましょう。良 くない行動には「ノー・ア、ア」と表現豊かに伝えましょう。リーダーシップを思い出して下さい。リーダーシップが高まれば、オーナーの声に耳を傾けます。 犬を観察して下さい。吠えている原因を取り除き、自信を付けさせましょう。自信ある犬はあまり吠えません。運動をさせましょう。充実した日々は、不必要な 吠え癖を付けさせません。

(2006年11月1日号掲載)      
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