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鈴木 博美
ドッグトレーナー
2匹のゴールデンレトリバーとの出会いをきっかけに犬の世界に興味を持つ。楽しく、且つ効果のあるトレーニング方法を求めて渡米。ケープ・エイブル・ケーナ
イン(Cape-Able-Canine)
のドッグトレーナー研修プログラムを終了後、同センターで犬のデイケア(幼稚園)&ホテル(宿泊)を担当。現在、ケーナイン・トゥ・ファイブ
(Canineto Five) を立ち上げ、日本語によるドッグトレーニングクラスも開講している。幼稚園教諭の経験もある。
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子犬の魅力に負けないで
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つぶらな瞳、ぽっちゃりした体、ポテポテと歩く姿、子犬はとても愛嬌があって可愛いですね。あの愛らしい顔で見つめられてしまうと、すべてを許してしまい
たくなってしまいます。しかし、動物は(
私たち人間も含めて)彼らの発達と学習において、幼児期がとても重要な意味を持っています。適切な時期に適切なことを学ぶ必要があります。そのことに気づ
いた時には、取り戻せない場合も多くあります。
子犬は母犬や兄弟たちと約8
週間を過ごした後、新たな家族である人間の元へやって来るのが理想的だと言われています。先ず、私たちが一番に教えることは、どこで排泄をするかですね。
一生に関わる問題ですので、クレート( 犬舎)
を使って、時間をかけて丁寧に教えてあげましょう。室内での失敗はすべて飼い主の態度に起因します。子犬の鼻を床にこすりつけたり、鼻先を叩くなんてこと
は決してしないで下さい。
そして、子犬時代に教えるべき大切な項目が2 つあります。1 つ目はかみつきの抑制、2 つ目は社会化です。
かみつきの抑制
子犬の歯は尖っていますが、あごの発達がまだ完全ではないので、咬まれてもあまり痛くはありません。だからこそ、その時期に、人間の皮膚はとても柔らかく
傷つきやすいので歯を当ててはいけない ̶̶
ということを教える必要があります。方法は簡単です。子犬の歯が当たったら「痛い」と大きな声で伝えるのです。子犬が手加減をしていても、同じように「痛
い」と言います。子犬は「なぁんだ、人間ってのは弱っちなぁ。歯を使っては遊べないんだな」と学んでいくのです。もちろん、1 回や2
回で覚えるわけではありませんので、根気よく続けて下さい。その際、「痛い」のしぐさが面白く、犬がゲーム感覚で楽しんでしまっていると思われたら、ク
レートに入れるか、一人(一匹)になれる安全な場所に犬を隔離し、落ち着きを取り戻させましょう。
かみつきの抑制の目標は、咬まない犬にするのではなく、咬んでしまうような状況に陥った時、相手に致命傷を与えることのないようにすることです。分かりやすく言うと、思いっきり咬んでしまうのではなく、かすり傷程度に抑えられるように教えてあげます。
もちろん最終的には、指示がない限り、人間の皮膚や衣服に直接歯を当てたり、口に含んではいけないというルールを教えていきます。これは誕生から4
か月まで、遅くとも5
か月までに学習する必要があります。そして、成犬になってからでも、定期的にご褒美をあげる時、食べ物と一緒に手も口の中に入れてみます。犬が遠慮して手
を咬むことを拒むようなら大丈夫です。手ごと食べようとするなら「痛い」と言って、ご褒美はあげずに何度か繰り返し、優しくご褒美を食べようとしたら「い
い子だ」と褒めます。
社会化
子犬にとって人間社会は驚きと恐怖でいっぱいです。好奇心にあふれ、見るものすべてを確かめたいのかもしれません。この気持ちはとても大切です。「何だろ
う( 疑問) ? → 確かめよう( 自発的行動)!→ なるほどな(
達成感・満足)!!」という段階を経て、確実に自信をつけていきます。様々な人に出会うように心掛けましょう。いろいろな所に出掛けましょう。犬への対応
は「大丈夫よ、怖くないから」と励ますよりは、「何だろうね、おっきいねぇ」と共感するようにしましょう。飼い主の自信ある態度を見て、子犬は「ホントだ
ね、怖がる必要なんてないんだね」と感じます。そこで「よい子だねぇ」と褒めてもらえれば、子犬は「僕はお兄ちゃんだ」と自信をつけていきます。
犬の社会化の時期は、生後6 か月までと言われています。その機会を逸することなく、子犬に社会化のチャンスを与えることはとても重要なことです。
自信をつけた犬は、その後に出会う新しいことにも怖がらず、上手に対応していきます。この時期に社会化を学ぶことができなかった子犬は怖がりになってしま
い、怖がりの犬は咬む可能性が高くなります。
人、環境、他の犬など、大きく分けて3 つの社会化を行って下さい。但し、子犬は疲れやすく繊細です。一度に10
人もの子供に触られては、社会化どころか、恐怖心を植えつけてしまいます。自信をつけさせていく過程を覚えておいて下さい。犬の自発的活動が自信につなが
るのです。
子犬との生活は大忙しです。でも、だからこそお互いの絆が深く結ばれ、愛情が芽生えていくのです。犬との一生を楽しく有意義に過ごしたいならば、特に子犬時代に時間をかけるように努めて下さい。
子犬を迎える前に
最後に、クリスマスや誕生日などにプレゼントとして子犬をと思ったならば、少し考えてみて下さい。誰が世話をしますか。成長後の犬を予想していますか。経
済的余裕はありますか。何よりも、犬との時間を楽しむ余裕がありますか。命あるものを迎える責任感を持たずして、犬を飼うことはできないはずです。 |
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(2006年12月1日号掲載)
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