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dr_kim_new.png     金 一東

日本クリニック・サンディエゴ院長

日本クリニック医師。
神戸出身。岡山大学医学部卒業。同大学院を経て、横須賀米海軍病院、宇治徳洲会等を通じ日米プライマリケアを経験。その後渡米し、コロンビア大学公衆衛生大学院を経て、エール大学関連病院で、内科・小児科合併研修を終了。スクリップス・クリニックに勤務の後、現職に。内科・小児科両専門医。


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腎結石 (Kidney stones=Nephrolithiasis)
       

腎結石は腎臓内で形成される結石のことですが、結石の存在する場所により、尿管結石、膀胱結石、あるいは尿道結石とも呼ばれます。これらの結石は総称して尿路結石と言いますが、この記事では便宜上、腎結石と称しておきます。

腎結石は一般的な病気で、アメリカでは毎年300万人が医療機関を受診し、そのうち50万人近くが救急室を訪れると言われています。また、理由ははっきり分かっていないのですが、アメリカでは過去30年で腎結石の人の割合が増えてきています。

腎結石はどの年齢でも起こりますが、男性では40才台で腎結石の罹患率が急に増え、70才台まで上昇し続けます。女性の場合は50才台がピークです。

 

腎結石の原因とリスク

腎結石は尿に排出される物質が結晶化し、それが結石の形になるわけですが、その原因ははっきり分かっていません。一般的に、尿中に結石の成分が排出されやすい人ほど結石のリスクは高くなります。例えば、痛風の人は血液中の尿酸の値が上昇し、尿に排出される尿酸の量が多くなり、尿酸結石を形成しやすくなります。

腎結石になりやすい人は、食品中に含まれるシュウ酸などの結石成分に影響を受けますが、腎結石のリスクの低い健康な人は、食物中成分の影響を受けないと信じられています。但し、カルシウム剤、ビタミンDなどの取り過ぎは腎結石のリスクになります。

腎結石を伴いやすい病気としては、まれな病気である尿細管性アシドーシス、副甲状腺機能亢進症、炎症性腸炎、シスチン尿症、尿路狭窄、腸のバイパス手術後などがあります。また、ループ系利尿剤やカルシウムを含む抗酸剤の使用もリスクになります。家族性に腎結石が起こることもあります。

 

腎結石の種類

結石の種類としてはカルシウム結石が最も頻度が高く、シュウ酸塩、リン酸塩、炭酸塩などに結合し、シュウ酸カルシウムやリン酸カルシウム結石を形成します。炎症性腸炎などがあるとシュウ酸カルシウム結石を形成しやすくなります。シスチン結石はまれな結石ですが、シスチン尿症のある人に起こり、ストルビット結石は尿路感染症のある女性に多く見られます。尿酸結石は男性に多く、痛風のある人や化学療法を受けている人に多くみられます。

 

腎結石の症状

腎結石の症状は激痛が特徴的ですが、必ずしも激痛でない場合があります。腎結石の痛みは、結石が腎臓から尿管、あるいは膀胱、尿道を移動することによって起こる痛みなので、腎臓に存在しているだけでは痛みは通常起こりません。結石が腎臓から尿管を移動すると、尿管は結石を排出しようと収縮を繰り返します。そして、膀胱の方へ下降するのですが、その移動する位置によって、腰痛、側腹痛、下腹部痛、ソケイ部痛、陰茎痛などを起こします。結石のサイズが大きい時は、生理的に狭くなっている尿管を通過する時に激痛が起りやすくなります。

尿管の収縮によって尿管が傷つき、血尿が出ます。尿中に含まれる赤血球の量によって、尿の色がピンク色をしたり、真っ赤になったり、あるいは単に色が濃くなったりします。突然の激しい腹痛と真っ赤な血尿があると腎結石の診断は比較的容易です。他の症状としては吐き気、嘔吐、寒気、夜間の頻尿、腰痛、排尿痛などがあります。

 

腎結石の診断と検査

腎結石の診断は、症状の項でも述べたように、典型的な症状と血尿があれば比較的容易ですが、症状が典型的でない場合(例えば、腎結石の患者さんは痛みのために診察室でじっとおとなしく座っていることがあまりありません。診察台に横たわって静かにしている方が楽な場合は腎結石の可能性はかなり低くなります)、他の疾患の可能性も考えて、いくつかの検査が必要になってきます。

尿検査は血尿を調べるだけでなく、他の疾患の除外にもつながるので必ず行います。また、結石排出後に24時間尿を取り、尿中の結晶成分を測定し、腎結石の予防に役立てます。調べる項目は尿量、尿の酸性度、カルシウム、ナトリウム、尿酸、シュウ酸、クエン酸、クレアチニン量です。治療後に再び24時間尿検査をすることがあります。血液検査では血中の各電解質、腎機能検査、尿酸値などを調べます。

画像診断では先ず腹部のレントゲンを行います。但し、尿酸結石などのようにレントゲン上で見えない結石もあるので、結石が写っていれば診断につながりますが、写っていないからといって、結石がないとは結論できないのです。腎エコー(腎臓超音波)で腎臓内結石は容易に分かりますが、尿管結石は尿管下部にあると結石そのものは見えません。但し、尿管結石の合併症である水腎症の有無が分かり、腎結石の診断には不可欠な検査です。他の経静脈性腎盂造影、腹部CT、CTによる尿路造影、腹部MRIなども場合により行ないます。

 

腎結石の治療

腎結石はサイズが小さければ痛みもほとんどなく、自然に体外へ排出されることがあります。何の症状もない腎結石はサイレント腎結石と呼ばれています。痛みのある腎結石はイブプロフェンなどの消炎鎮痛薬で痛みをコントロールしますが、激しい痛みを伴う時はより強力な痛み止めが必要になります。排尿時は、大きなコーヒーフィルターのような濾(ろ)紙を使ってなるべく排出される結石を採取するようにしましょう。それによって、ある程度原因が追究できます。また、今後の予防にも役立てることができます。痛み止め以外には、毎日コップ6-8杯の水分を余分に取り、尿の量を増やすことが重要です。

体外衝撃波結石破砕術はESWLとも呼ばれ、大きな腎結石を体外からの衝撃波で細かく破砕する方法で、いくつかの方法があります。以前は水の入った湯船のような中で行なわれていましたが、最近では水中に入らないで行う方法方法もあります。尿管の結石は膀胱鏡で直接除去したり破砕をします。以上の方法が不可能な場合は、経皮的腎結石摘出術という外科的手術の適応になります。この方法では、背中に小さな穴を開け、そこから内視鏡を通して結石を摘出します。

 

腎結石の予防

腎結石の予防で一番大切なことは水を十分摂取するということです。以前は、カルシウム結石を起こしやすい人は、カルシウムの多く含まれている乳製品などは避けるようにという指導が一般的でしたが、最近の研究では、カルシウムが多く含まれている食品は逆にカルシウム結石の形成の予防になる可能性が示唆されています。但し、カルシウムを製剤の形で摂取するとカルシウム結石のリスクになります。ビタミンDの取り過ぎ、カルシウムの多く含まれている抗酸剤も避けるようにします。酸性尿の人は肉、魚、飼鳥類を避けます。

結石の種類が分かっている人は、より効果的な予防が可能になります。カルシウム結石の人はサイアザイド系利尿剤でカルシウムの尿への排泄を抑えます。あるいは、セルロース・リン酸ナトリウム(sodium cellulose phosphate)で腸でのカルシウム結合を促進し、カルシウムの吸収を防ぎます。炭酸水素ナトリウム(sodium bicarbonate)やクエン酸ナトリウム(sodium citrate)の使用で尿をアルカリ性に傾ける方法もあります。

尿路感染症と関係のあるストルビット結石の予防には抗菌剤の投与。尿酸結石の予防には尿酸の形成を防ぐアロプリノールの服用があります。

頻度の高いシュウ酸カルシウム結石の予防には、シュウ酸を多く含む食事を避ける方法を試みましょう。シュウ酸が多く含まれている食べ物としては、ほうれん草、チョコレート、ビート、小麦胚芽、大豆クラッカー、ピーナッツ、さつまいも、中程度シュウ酸が含まれているものはグレープ、セロリ、ピーマン、フルーツケーキ、いちご、レバーなどです。

 
この記事に関するご質問は日本クリニック(858) 560-8910まで。過去の「アメリカ健康ノート」の記事は、私のウェブサイトwww.usjapanmed.com またはwww.dockim.com で読むことができます。
 
(2007年12月1日号掲載)      
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