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生徒たちとミーティングをしていた9月19日の夕方5時ごろ。私の携帯が鳴りました。
「あぁ、貞美さぁーん、お久しぶり! 実は困ってるのよ~」。LAでテレビ番組製作の仕事をしている友人からです。彼女、いつも緊急時にしか電話が来ない。前回は新クラブのデモ用コマーシャル素人モデルを緊急紹介しました。
「どうしました?」「実はね、プロダクションをやっている友人からの頼みだけれど…。宮里藍ちゃんのコマーシャル撮影のダミーを探しているの、誰かいないかしら? 明朝6時30分にMission Viejoのゴルフ場に来てほしいのぉー」。
まず、早朝4時45分頃に自宅出発という苦手な条件で気が進まなかった私ですが、「条件は何?」と、取りあえず聞いてみました。
「スウィングが良くて、身長が153センチ、体重は112パウンド、見つからなかったら申し訳ないけれど、身長も体重もオーバーの貞美さんでよいから、お願い!」と言うのです。
「私、153センチですっ!!」と、私のすぐ隣からはっきりとした道ちゃんの声が響きました。「体重は?」「…。」「体重は?」「言いませんっ!」もう、絶対行きたい表情になっていました。「あのぉー、ここに身長ぴったり、スウィング綺麗、体重オーバーがいるけれど」。
と言うわけで、私は道ちゃんを連れて早朝に出発する羽目になったのです。ご主人が出張中の道ちゃんは、早朝起きられなかったらどうしようと、緊張と興奮のあまり眠れない夜を過ごし、私は眠たい目をこじ開けて、まだ暗い9月の雨の中をカメのように首を前に出しながら運転していきました。(疲れた!)
ゴルフ場はまだ薄暗く、寒くて閑散としています。クラブハウス内でご挨拶しながらの朝食。プロダクション、カメラマン、撮影現場セットの準備係、日本からは監督、コピーライター、スポンサー会社、広告会社など総勢30名ほど。「宮里藍ちゃんは、いない…」。
あいにく、その朝は雨模様でしたが、午前7時30分頃には雨もやみ、11番ホールのティーボックスに撮影用セットが組まれました。青空が見えるものの、黒い雲もあちこちにあり、お日様が雲に隠れると結構寒いのです。ダミーの道ちゃんのお役目は?
日本の女性タイガーといっても過言ではない宮里藍ちゃんのコマーシャルは、映画撮影のように大掛りなものでした。道ちゃんは真ん中にクラブを持ってアドレスを取り、じ~っとマネキンのように動かなかったり、スウィングを4、5回したりと、監督さんの指示通りに動きます。その間、カメラの位置や線路のようなレールを動かしたり変更したりで、時間が結構かかるのです。その間、道ちゃんはじ~っと人形のように動いてはいけないのです。
「道ちゃん、寒いから上着を着たら?」「大丈夫です。北海道出身ですからっ!」健気な道ちゃんです。
午前10時頃、4台のゴルフカートがやって来て、マネージャー、メイクアップ係に囲まれて藍ちゃんがやっと登場したのです。雑誌やテレビで見るあの可愛らしい藍ちゃんはそのままでした。
道ちゃんが何度もリハーサルをした後に、いよいよ「本人」が登場するわけです。何度も取り直しをするのは拘束時間も長くなるし疲労も重なるのです。忙しいスケジュールの大物は大変なのですね。
大忙しの道ちゃんとは対象的に、運転手の私はいろいろな人とおしゃべりしたり撮影を観たりと結構楽しみました。そして、サンドイッチ、おにぎり、即席ラーメン、果物、せんべい、クッキー、コーヒー、お茶など、和洋折衷の昼食コーナーにへばり付いていました。
「道ちゃん、お腹すいたでしょう? 何か食べますか?」「いいえ、お腹あまりすいていませんっ!」… まだ、緊張しているんだわ、お腹のすいていない道ちゃん、珍しい…。「貞美さん、食べまくっていますねっ!」「はい、ヒマで…」
午後4時頃に撮影も無事終わり、それぞれお別れのあいさつなどしている時に「どうもお疲れ様でした。ありがとうございました」と、藍ちゃんが手を差し出してきました。「こちらこそ、楽しかったです。是非、サンディエゴにも遊びにいらして下さいね」。礼儀正しい、爽やかな宮里藍ちゃんの大ファンになりました。
「あの藍ちゃんに握手を求められて、感激で涙が出そうになりましたっ」。よかったわね、道ちゃん。思い出の1日になりましたね。お疲れ様でした。
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