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nagano_face.jpg   永野 文久

米国公認会計士

昭和17 年生まれ。  昭和41 年東京大学卒。同年三和銀行入社。
昭和58 年米国公認会計士。

ご質問、ご連絡はこちらまで
 
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税務申告書作成者に対する開示義務
 
現在、米国議会においては Attorney、CPA、EA (米国税理士) 等、有償にて税務申告書を作成する者に対する開示義務の緩和に向けての審議が行われています。この案件は、既に米国下院を通過しました。(H.R. 6049)

この背景には、National Association of Tax Professionals (NATP)や、American Institute of Certified Public Accountants (AICPA)等、税・会計の専門家団体による働きかけが少なからずあります。開示義務規定の緩和は国の徴税能力に影響を与えかねません。

今、なぜ「専門家団体が規定緩和を求めているのか」、また「規定緩和により、どのような社会的メリットがあるのか」を考察したいと思います。



申告書作成者への開示義務の現状

税務申告書作成者は、申告書作成の際、クライアント (納税者) から提出された数字の正確性について確認をする義務はありませんが (数字の信憑性につき、明らかに問題がある場合を除く)、提出された数字を税法 (内国歳入法及び関連の規則、通達等を含む) や判例に則り適切に処理する責任を負っています。

この際、税法の解釈につきクライアントとIRSとの間に隔たりがある場合は、税務申告書作成者は以下の対応をする旨求められています。(内国歳入法第6994条)


申告書にて用いられた法解釈の妥当性の度合いと税務申告書作成者の対応


(1) 2007年12月31日以前に提出される申告書

  • 税務裁判が開かれた場合に、クライアントの法解釈が正しいと認められる確率が33%以上あると判断される場合には、当該法解釈の開示の必要なし。
  • 税務裁判が開かれた場合に、クライアントの法解釈が正しいと認められる確率が12.5%以上33%以下であると判断される場合には、当該法解釈の開示を Form 8275 もしくはForm 8275 (R) を用いて行う。(同 Formを単独でIRSに提出するとともにDuplicateを申告書に添付する)
  • 税務裁判が開かれた場合に、クライアントの法解釈が正しいと認められる確率が12.5%に満たないと判断される場合には、当該法解釈を申告書にて用いない。


(2) 2008年1月1日以降に提出される申告書

  • 税務裁判が開かれた場合に、クライアントの法解釈が正しいと認められる確率が50%超である旨判断される場合には、当該法解釈の開示の必要なし。
  • 税務裁判が開かれた場合に、クライアントの法解釈が正しいと認められる確率が25%以上50%以下であると判断される場合には、当該法解釈の開示を Form 8275 もしくはForm 8275 (R) を用いて行う。(同Formを単独でIRSに提出するとともにDuplicateを申告書に添付する)
  • 税務裁判が開かれた場合に、クライアントの法解釈が正しいと認められる確率が25%に満たないと判断される場合には、当該法解釈を申告書にて用いない。申告書にて用いられた法解釈につき正しいと認められる確率が33%以下であると判断される場合には、納税者に対しても同様の開示ルールが適用される。

開示ルールが守られない場合は、税務申告書作成者、納税者共にペナルティーの対象になります。*(注) 2008年1月1日以降開示義務のギャップ (50% vs. 33%) が税務申告書作成者と納税者の間で利害衝突の原因となっています。



納税者による「Opinion Shopping」

【例】A (納税者) は確定申告書 (Form 1040) の作成を従来B (CPA) に依頼してきましたが、今回控除額の妥当性につきBがForm 8275による開示を提案したため、提案を断り、C (別のCPA) に作成を依頼しました。Cは控除額の妥当性について開示をしないまま、AのForm 1040を作成しました。

このケースは、納税者による「Opinion Shopping」の典型的な例です。税務申告書作成者にとっての開示義務の水準 (50%) は納税者のそれ (33%) より高いため、前者が開示を提案しても後者は良しとしないことも考えられます。開示をすれば、当局の関心を引くことになるからです。

IRSは、税務申告書作成者のClient- Relationを念頭に置いたガイダンスを2007年12月31日付けでリリースしましたが、これは一時的措置であり、8月18日に予定されている公聴会において同様の措置が盛られる保証はありません。



開示義務の緩和要求

NATP (National Association of Tax Practitioners)やAICPA (American Institute of CPAs) が税務申告書作成者の開示義務水準の緩和を求めているのは、税務申告書作成者-納税者間に生じた開示義務の不均衡により、両者間に生じた利害衝突は税務申告書作成者の顧客関係をこじらせるのみでなく、納税者によるComplianceの妨げにもなっている(例:「Opinion Shoppingの横行」)という考えに基づいています。

*(注) このうち、納税者に対するペナルティーは、追徴額が$5,000 (C corporationの場合は$10,000) を超えた場合に過少申告加算税(Accuracy-Related Penalty)という名目で課せられます。

※注意:このコラムは米国での税務に関する一般論的概説ですので、実際の案件については個別に専門家の意見を求められるようにお願いします。
 
(2008年9月1日号掲載)


 
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米国公認会計士

昭和17 年生まれ。  昭和41 年東京大学卒。同年三和銀行入社。
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国際財務報告基準(IFRS)の概説~資産負債アプローチ
 

企業活動の国際化に伴い、会計のグローバル化も着実に進んでいます。2005年より、欧州連合 (EU) 加盟25か国をはじめとする多くの国々は、自国企業に対し国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards, IFRS)による財務報告を義務付けていくことを決定しています。

一方、米国財務会計基準審議会 (FASB) についても、国際会計基準審議会 (IASB) と協調しており、米国基準とIFRSの収斂 (しゅうれん) を進めていく方針を既に確認しています。過去においても「国際財務報告基準 (IFRS) の概要」を述べてきましたが、今回は、IFRSの背後にある一つの重要な考え方である「資産負債アプローチ」について考察してみます。

 

収益費用アプローチ vs 資産負債アプローチ

財務諸表の最も基本的な構成要素は、貸借対照表 (B/S) および損益計算書 (P/L) です。このB/SとP/Lについては、「どちらの方が企業活動を判断する上でより重要であるか」という、古典的な議論が存在します。

その一つとして、一定期間の経営成績を表すP/Lの方が、補助的機能を持つに過ぎないB/Sよりも重要であるという考え方があります。       

これによると、B/Sは収益と収入、費用と支出および収入と支出の期間的なズレを収容する「残高表」、つまり当期の損益計算の結果を翌期以降に引き継ぎ、翌期以降の損益計算はこの引き継がれたB/Sを出発点として行う「連結環」の機能を取っており、P/Lを「補助」する関係にあるといえます。

例えば、前払費用は、支払い(支出)は実施したものの費用として発生していないものとします。この支出と費用の期間的ズレを前払費用として収容し、翌期以降の損益計算の連結環として機能します。

従来の企業会計では、このように期間損益上の収益、費用をいかに計上するかという点を重要視してきました。このような考え方を「収益費用アプローチ」と呼んでいます。

一方、B/Sの機能を重要視する考え方があります。単なる残高表、連結環という損益計算書 (P/L) の隠れた存在であった貸借対照表 (B/S) のリアリティを回復し、貸借対照表 (B/S) 上の資産負債の本当の価値を表そうという考え方です。

これは、かつてB/Sを重視した債権者保護を基礎とした19世紀ドイツ商法的発想とは異なり、投資家に企業価値評価に資する有用な情報を提供するという投資家保護の観点に基づいています。このような考えを「資産負債アプローチ」と呼んでいます。

 

IFRSにおける資産負債アプローチ

以下、国際財務報告基準 (International Financial Reporting Standards, IFRS)のIAS16号「有形固定資産」に関する規定を1例として参照して下さい。

 

(例) 2008年4月1日に社用車を400万円で購入、耐用年数3年、定額法による償却。残存価格100万円。2009年3月31日現在の同年同型車両の中古車市場における売買価格は350万円。

この場合、国際財務報告基準 (IFRS) では2通りの方法が認められています。「Cost Model」と「Revaluation Model」です。

「Cost Model」では、従来と同様、耐用年数に渡って減価償却費を計上するだけです。

これに対して、Revaluation Modelによると(2)のような処理になります。

(1) Cost Modelによる2009年3月31日の会計処理(単位:万円)

    原価償却費 100 / 減価償却累計額 100


(2) Revaluation Modelによる2009年3月31日の会計処理(単位:万円)

    減価償却費 100 / 減価償却累計額 100
    車両 50 / 再評価差額金(資本の部) 50

この会計処理により、貸借対照表(B/S)上の車両は時価(350万円)で計上されることとなり、資産の本当の価値で表されます。この会計処理の背後には「資産負債アプローチ」の考え方が存在しています。

 

この10年ほどの間に、この「資産負債アプローチ」に基づく会計論が台頭してきています。なかでも、国際財務報告基準においてそれが顕著です。金融商品や税効果会計、固定資産の減損会計などでは、その基礎となる会計観として「資産負債アプローチ」が採用されています。

会計基準の変更があった場合、その背後に「資産負債アプローチ」の考え方があることを意識できれば、より理解し易くなると思われます。


※注意:このコラムは米国での税務に関する一般論的概説ですので、実際の案件については個別に専門家の意見を求められるようにお願いします。
 
(2008年10月1日号掲載)


 
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米国公認会計士

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昭和58 年米国公認会計士。

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米国大統領候補の税制改革案比較
 

今号では、民主党オバマ候補と共和党マケイン候補の政策提案のうち、税制改革案に焦点を当てて比較してみます。

米国の金融市場の混乱により、本来両者の立場が明確に違うはずの税制でも、両者の主張が多少トーンダウンして近づいてきたものの、依然としてどちらかの候補が当選するかによって税務に与える影響は小さくはありません。

最近の各党のプレスリリース、米国シンクタンクの試算等から下記の様な対比が読み取れます。

 

オバマ候補の税制改革案

オバマ候補は、高所得層には増税、中低所得層には減税を行い、税制の累進性を高めるよう提案してきました (高額所得層の区分は、年収25万ドル以上の夫婦世帯、年収20万ドル以上の単身世帯としている)。これは、現在の米国経済の大きな問題点の1つは、「中間所得層に自由に使える収入が少ないことである」という考えに基づいています。

提案の例として、勤労家族を対象とした還付可能なMaking Work Pay Credit という税額控除を新設することにより、$8,100 までの所得に対する所得税が相殺されるという案があります。配当・キャピタルゲイン税については、高額所得者には最高税率20% (現行15%) を適用する方針ですが、中低所得層には所得税・キャピタルゲイン税・配当税・社会保険税を含め、いかなる増税もしないとしています。

また、年収5万ドル以下の高齢者は所得税の申告を免除されるとしています。(当初は、高額所得層に対するキャピタルゲイン最高税率を28%、社会保険FICA 税を増税すると提言していたが、これらは見送りとなった)

オバマ陣営は、全体としてマケイン候補の提案よりも大幅な減税案になると見込んでいますが、本質は減税項目と増税項目を再編成した「税負担の再配分」と言えます。キャピタルゲイン税率の変更だけでも、1,000億ドルの税収増加が見込まれると試算されています。

 

マケイン候補の税制改革案

対照的にマケイン候補は税制改革の狙いを経済成長の促進に定め、所得税・法人税の税率を低く抑えるべきだと主張しています。法人の最高税率を35%から25%に引き下げることを公約の一つとしていることがその顕著な例です。

夏季のガソリン税減税、税制の簡素化、富裕層だけでなく中間層も課税の対象になりつつある代替ミニマム税 (AMT) の段階的廃止等も提言しています。ガソリン税減税については、5月下旬のメモリアルデイから9月上旬のレイバーディまでガソリン・軽油に対する連邦税を停止することを提案しました。

その他、学生ローン向けの優遇措置、扶養家族の人的控除の3,500ドルから7,000ドルへの倍増や、社会保険税のうちメディケア (高齢者向け医療保険)の予算拡大も提案しています。メディケアについては、夫婦で16万ドル以上の所得がある世帯に負担増を求めています。

ガソリン税減税の予想総額は80億~100億ドル。今回提案した減税の予想総額は1,950億ドルとなりますが、マケイン陣営は歳出削減や課税逃れの防止、「景気拡大に伴う税収増加」で対応できると説明しています。

ちなみに、副大統領候補に指名され、最近話題を呼んでいるサラ・ペイリン アラスカ州知事は、昨年11 月にアラスカ州において法人税の増税法案を成立させましたが、これは石油企業を対象としており、且つ国税と州税の課税スタンスは別物なので、ペイリン知事の起用がマケイン候補の税制改革案に対して影響を与えることはないと思われます。

 

主な税制改革案の比較(9/12 時点)

▽ 個人税率

  • オバマ候補 →10%、15%、25%、28%は維持。33%を36%、35%を39.6%。年収5万ドル以下の高齢者の所得税免除。
  • マケイン候補 → 扶養者控除額を段階的に3,500ドル~7,000ドルまで増加。

 

▽ 法人税率

  • オバマ候補 → 変更なし。
  • マケイン候補 → 最高税率を35%から25%に。

 

▽ キャピタルゲイン・配当

  • オバマ候補 →15%から20%に増加。
  • マケイン候補 → 変更なし。

 

▽ 遺産税率

  • オバマ候補 → 500 万ドル以上には15% (夫婦合算申告は1000万ドル)。※現行200万ドル以上に45%。
  • マケイン候補 →350 万ドル以上には45% (夫婦合算申告は700万ドル)。

 

 

▽ 代替ミニマム税

  • オバマ候補 → 変更なし。
  • マケイン候補 → 段階的廃止。2013年以降exemptionを5%ずつ増加。

 

 

▽ その他

  • オバマ候補 → 還付可能な税額控除Making Work Pay Credit 新設、1世帯1,000ドルまでを8,100ドルまでの所得に対する所得税と相殺可。還付可能な子供扶養者税額控除を1人1,500ドルに。
  • マケイン候補 → 夏季ガソリン税の停止。国内生産活動控除の廃止。耐用年数3、5年設備の初年度控除。還付可能ヘルスケア税額控除の新設。



※注意:このコラムは米国での税務に関する一般論的概説ですので、実際の案件については個別に専門家の意見を求められるようにお願いします。
 
(2008年11月1日号掲載)


 
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米国税法における会社分割
 

米国における景気後退が色濃く増していく中、企業は再生に向けての様々な努力が求められています。再生への手がかりとして、会社分割(Corporate Division)という手法があります。米国における会社分割は、企業の組織変更の一場面として、または不採算事業を切り捨て、採算事業に特化するという経営戦略の一環として行なわれています。会社分割によって身軽になった後は、買収・再編の対象になりやすく、自社の価値を高める結果になることが多いと指摘されています。

今回は、内国歳入法355条「Distribution of Stock and Securities of a Controlled Corporation」に記載されている非課税の会社分割の方法と、付随するいくつかの条件を記し、どのような枠組みに応じて為されるかを考察します。

米国税法における非課税の会社分割の取扱いは、親会社株主への新規発行の子会社株式の分配方法に応じて、以下に分類されます。これらに該当した場合、原則として、取引により発生した「Gain」または「Loss」は、株主側および法人側においても、税務上認識されないことになります。

 

スピン・オフ(Spin-off)

5年以上の事業年数を有する米国親会社が、新設される米国子会社に事業用資産の一部を移転して、新設子会社は新規発行株式を米国親会社に分配します。米国親会社は親会社株主A及びBからの保有比率に応じて、新設子会社の株式を分配します。

子会社株式の親会社株主A及びBへの分配比率は、米国親会社への出資比率に応じて為されます。

 

スピリット・オフ(Split-off)

米国親会社が新設子会社株式を親会社株主A及びBへ分配する際、親会社株主側は逆に一部持株分を親会社へ償還する場合です。親会社株主側は、新設子会社の株式を親会社への出資比率に応じないで分配を受けることは出来ますが、相当する比率で親会社株の親会社への償還を行う必要があります。

米国親会社は、2社以上の新設米国子会社に事業用資産を移転して、それら新規発行株式を親会社株主に分配した上、親会社株主側は持株を全て償還し、親会社を清算するという方法です。   
スピリット・アップ(Split –up)

米国親会社は2社以上の新設米国子会社に事業用資産を移転して、それら新規発行株式を親会社株主に分配した上、親会社株主側は持株を全て償還し、親会社を清算するという方法です。

内国歳入法355条による会社分割の非課税扱いを受けるためには、次の条件をすべて満たさなければならないことになっています。

 

非課税扱いを受けるための条件

  • 米国親会社が親会社株主A及びBに分配する株式は、分配直前に米国親会社の80%以上所有する新設子会社の株式でなければならない。具体的には、米国親会社は少なくとも新設子会社の80%の議決権と、少なくとも各種無議決権株式を保有していなければならない (Control)。
  • 米国親会社は、全ての新設子会社の株式を分配するか、新設子会社の支配に十分な量の株式を分配し、且つ、新設子会社の株式を米国親会社に保有する理由が、関連会社間の利益の分割を主目的としたものや、租税回避が目的であってはならない (cannot be primarily a tax-avoidance devise)。
  • 親会社株主A及びBは、分割後は米国親会社もしくは新設子会社の支配を継続していなければならない。しかし、分割前の持分と同率でなくともよい。
  • 5年間の事業活動の条件が満たされなければならない (Active Trade or Business)。分割直後の事業に適用される。株式の分配後に米国親会社または新設子会社で行われる各事業は同時に、(i)分配前の5年間に継続的に積極的に行われていなければならず、且つ(ii) 分配前の5年間に課税取引で取得されたものであってはならず、しかも、(iii)分配前の5年間に、親会社株主A及びBは、課税取引に基づいて支配権を獲得した会社によって行われたものであってはならない。
  • 会社分割は正当な事業上の目的によって行われたものでなければならない (valid business purpose)。
  • 会社分割の行われた日の前後2年以内に、米国親会社または新設子会社の議決権、もしくは株式価値の50%以上が1人以上の者に所得される場合は、上記他の要件を満たす場合であっても、課税取引として取り扱われ、分配直前に利益認識しなければならない (Continuity of Interest)。

上記要件は、個々として考慮されることは勿論、複合的な補完関係にもあります。判定は事実関係 (Fact and Circumstances) に拠るところが多く、一般的にはIRSとの事前協議を経て行われます。よって、個別の案件は専門家にお問い合わせ頂くのが望ましいものと考えます。



※注意:このコラムは米国での税務に関する一般論的概説ですので、実際の案件については個別に専門家の意見を求められるようにお願いします。
 
(2008年12月16日号掲載)


 
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米国不動産投資 不動産売却益課税の繰り延べ制度(IRC 1031)
 

米国証券第4位のリーマン・プラザーズの経営破たんは、記憶に新しいところです。

その破たん原因の一つとしては、サブプライムローンの損失があったと言われています。サブプライムローンの焦げ付きにより、米国住宅市場には競売物件が増え、住宅価格もここ数年下落しているとのことです。

このような状況下で米国不動産投資に関する関心も高まり、質問も多くなっています。今回は、一昔前にベストセラーになったロバート・キヨサキさんの名著『金持ち父さん 貧乏父さん』でも紹介された不動産売却益課税の繰り延べ制度 (IRC Section1031) について概説します。

 

日本人(米税務上非居住者扱い)が米国不動産物件を購入した場合の税務申告義務

(1) 賃貸収入がある場合

一般的に、日本の投資家が米国不動産を購入し、賃貸に出した場合、その賃貸収入は米国源泉所得とみなされ、30%の源泉徴収をしてもらうか、自ら税務申告をする必要があります。

前者は、面倒な申告手続きを省くという簡便さと引き換えに、確実に税金を払わなければならないという犠牲が伴います。それに対し、後者は逆に、経費を集計したり、申告書を作成するといった手間をかけることにより、確実に節税することが出来るという利点があます。

 
(2) 不動産を売却した場合

同上、日本の投資家が米国不動産を売却した場合、その売却損益は米国源泉所得とみなされ、自ら税務申告をする必要があります。これは義務ではありますが、申告することにより、源泉された税金 (通常売値の10%以上が源泉される) の一部が戻ってくる場合が多くあります。

逆に、申告しなければ、例え源泉税が確定税額より多かったり、売却損になり、納税額がゼロであったとしても、源泉された税金が還付されることはありません。

 

米国不動産売却益課税の繰り延べ制度(IRC Section 1031)

米国不動産を売却すると税務申告書上では、売却価額から購入価額その他の経費を差し引いた売却益に対しキャピタルゲイン税が課せられます。もちろん、このときに売却損が発生した場合は税金は発生しません。

一方、連邦税法IRC Section 1031によれば、事業目的または投資目的で保有されている資産と同種の資産を買い換えることにより、利益や損失を認識しないと規定してあります。

 

IRC Section1031適用のルール

▽物件の種類

売却する物件も新たに購入する物件も下記1か2の種類の不動産でなければなりません。

  1. 納税者のビジネスを運営する目的で使用する不動産
  2. 投資目的で保有される不動産(長期で保有する場合)

 

▽適用条件

Section 1031を適用するには以下の条件を満たさなければなりません。

  1. 買い換えにより取得する物件は、売却する物件の価格と同等かそれより高額であること
  2. 売却によって発生した資金は資格のある仲介業者 (エスクロー等) が取り扱わなければならない。オーナー本人が受け取ると課税取引になる
  3. 売却価額は全額、新たに購入する物件に充当しなければならない
  4. 買い換えにより取得する物件は、売却した物件と同額以上の負債を負っていなければならない
  5. 売却してから45日以内に買い換える物件のリストを作り、売却してから180日以内に買い換えを終了する必要がある。但し、もし売却した物件の税務申告の期限がこれより早い場合にはこちらが買い換えの期限となる



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(2009年1月16日号掲載)


 
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